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科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

日本人における喫煙と急性骨髄性白血病罹患リスク

日本のコホート研究のプール解析

日本人における喫煙と急性骨髄性白血病罹患リスク

喫煙は、肺がんや頭頚部がんなど多くのがんのリスクを上げることが知られていますが、急性骨髄性白血病のリスクも上げるといわれています。国際がん研究機関(IARC)では、これまでの研究結果に基づいて、喫煙は急性骨髄白血病の確実なリスクであると報告しています。しかしながら、喫煙と急性骨髄性白血病のリスクについて日本人を対象とする大規模な研究はほとんど行われていませんでした。そこで、多目的コホート研究(JPHC研究)で喫煙と急性骨髄性白血病のリスクの関連を検討したところ、日本人の男性においても、喫煙が急性骨髄性白血病のリスクを上げることがわかりました。詳細は、概要版をご覧ください。(概要版「喫煙と白血病罹患リスクについて」)

今回、日本の9つのコホート研究のデータを併せたプール解析により、喫煙と急性骨髄性白血病のリスクの関連を検討し、その研究成果を専門誌に発表しました(Hematological Oncology 2017年ウェブ先行公開)。 このプール解析では「喫煙は急性骨髄性白血病のリスク上昇と関連がある」といった関連のあり・なしだけでなく、「たばこを吸う人は、吸わない人と比べてリスクが何倍になる」といったような量的な評価を示すことも目的としました。

 このプール解析に参加したのは、JPHC-IとJPHC-IIから成る多目的コホート研究、JACC研究、宮城県コホート研究、大崎国民健康保険コホート、3府県コホート研究(宮城)、3府県コホート研究(愛知)、そして高山コホート研究、3府県コホート研究(大阪)です。調査開始時のアンケート調査の喫煙習慣についての回答を基にして、たばこを「吸わない」グループ、「やめた」グループ、「吸っている」グループの3つのグループに分けました。さらに、「やめた」グループと「吸っている」グループを喫煙指数(パックイヤー:たばこ1箱を20本として、1日当たりの喫煙箱数と喫煙年数を掛けあわせた値)によって2つのグループに分け、「吸わない」グループと合わせて3つのグループにも分けました。平均で約14年の追跡期間中に、245人(男性139人、女性106人)が急性骨髄性白血病になりました。年齢、性別、居住地域と肥満指数の偏りが結果に影響しないように考慮して、喫煙と急性骨髄性白血病の罹患との関連を検討しました。

 

たばこを吸うとAMLのリスクが約1.7倍になる。

結果として、男女合わせた解析では、喫煙指数が30以上のグループは、たばこを「吸わない」グループと比べて急性骨髄性白血病のリスクが1.67倍であり、統計学的に有意にリスクが上昇していました。男性に限った解析でも、喫煙指数が30以上のグループの急性骨髄性白血病のリスクは1.69倍であり、統計学的に有意にリスクが上昇していました(図、* P<0.05)。一方、女性に限った解析では、喫煙者や罹患した人の人数が少なく、喫煙と急性骨髄性白血病の関連ははっきりしませんでした。

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この研究について

この研究で示された喫煙と急性骨髄性白血病の関連は、これまでの国際的な研究結果と一致しています。喫煙が急性骨髄性白血病のリスクを上昇させるメカニズムとしては、タバコに含まれるベンゼンや放射性物質による発がんが考えられています。

今回の研究の結果、喫煙が急性骨髄性白血病のリスクを上げるという国際的評価が日本人においても当てはまることが確認されました。急性骨髄性白血病は、他のがんに比べると頻度は低いですが、発生すると治療が難しい病気です。また、喫煙は多くのがんや循環器・呼吸器疾患などのリスクを上昇させることも分かっています。健康寿命延伸のためにも急性骨髄性白血病の予防においても禁煙は重要です。

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