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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する研究

甲状腺機能への影響

関連図表(118KB)

要旨

内分泌かく乱化学物質(ダイオキシンを除く)の甲状腺機能への影響に関する疫学研究の現状について文献的考察を行った。米国立医学図書館の医学文献データベースPubMed を用いて、(Thyroid) AND (Insecticides OR Pesticides OR Chlorinated Hydrocarbons OR PCBs OR Bisphenol OR Phenol OR Phthalate OR Styrene OR Furan OR Organotin OR Diethylstilbestrol OR Ethinyl Estradiol) AND (human)のキーワードで文献を検索した。候補文献607件中、2000年から2004年10月31日までに報告された甲状腺機能に関する疫学研究15件(コホート研究2件、症例対照研究1件、断面研究10件、介入研究1件、地域相関研究1件)であった。日本人を対象とした研究はPCBについて、2件のみであった。文献的に検討した結果、PCBについては甲状腺機能への影響が複数の高濃度暴露集団での研究で報告されており、一般人口での研究の必要がある。その他の内分泌かく乱化学物質と甲状腺機能の関連に関する研究はきわめて乏しい。動物実験では甲状腺への影響が多数報告されているので、さらに疫学研究を継続する必要がある。特に研究報告の少ない日本での疫学研究を行う必要がある。

研究目的

ダイオキシンに暴露された人に甲状腺機能の異常(1994)が起こることを示唆する報告があり、PCBなどダイオキシン以外の化学物質暴露と甲状腺機能との関連が注目されてきた。化学物質と甲状腺機能に関する疫学研究の現状を把握する目的で、文献レビューを行った。

研究方法

米国立医学図書館の医学文献データベースPubMed(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi)を用いて、(Thyroid) AND (Insecticides OR Pesticides OR Chlorinated Hydrocarbons OR PCBs OR Bisphenol OR Phenol OR Phthalate OR Styrene OR Furan OR Organotin OR Diethylstilbestrol OR Ethinyl Estradiol) AND (human)のキーワードで文献を検索した。候補文献607件の中から、人集団を対象とする疫学研究の原著論文を選択した。さらに必要に応じて、これらの原著論文や、他の総説論文を参考にして論文を選択した。

研究結果

1. PCB

(1)コホート研究

Persky ら(2001)は五大湖の魚類摂食がPCB暴露と生殖機能に及ぼす影響についての大規模調査に付随して、原コホート群から選択した被験者を対象に甲状腺ホルモンとPCB、DDEとの関連性、ステロイドホルモンとPCB、DDEとの関連性について検討した。

1993年秋季に行われた原コホート研究から、男性179例、女性51例を選択し、PCB、DDE、魚類摂食と甲状腺ホルモン、ステロイドホルモンとの関連性を調べた。男性117例、女性38例が船員、男性34例、女性4例が漁師で、男性28例、女性9例を参照群として含めた。

血清中PCB値と五大湖の魚類摂食は女性のサイロキシン(T4)と遊離サイロキシン指数(FTI)の低値、男性のT4の低値と有意に関連していた。魚類摂食は男性におけるトリヨードサイロニン(T3)値と有意な逆相関性を示した。甲状腺刺激ホルモン(TSH)についての結果は一貫していなかった。男性では性ホルモン結合グロブリン(SHBG)と結合したテストステロンとPCB値、魚類摂食との間にはともに有意な逆相関性がみられたが、SHBGまたは遊離テストステロン値との間に関連性はみられなかった。硫酸エストロン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、硫酸デヒドロエピアンドロステロンとPCB、DDE、魚類摂食との間には全般に有意な関連性はみられなかった。

Matsuuraら(2001)は甲状腺ホルモンと類似した構造を有するダイオキシン類(PCDD/Fs)とPCBの乳児への影響の研究を1997年から3年間、東京都、埼玉県、石川県、大阪府で行った。1999~2000年にさらに20都道府県を追加し、甲状腺と免疫機能について検討した。

分娩後30日目の母乳を415名から採取した。また甲状腺と免疫機能を評価するため、1歳時における母乳哺育児337例と対照群として人工乳哺育児53例の血液サンプルを採取し、血清中のT4、T3、FT4、TSH値を測定した。

母乳哺育児と人工乳哺育児の血漿中T4、T3、FT4とTSH濃度は正常範囲内にあり、両群に有意差はみられなかった。分娩後30日目の母乳中のダイオキシンとPCB濃度には有意な地域差がみられ、ダイオキシン+co-PCB濃度は最低値29.5pgTEQ/g脂肪から最高値13.1pgTEQ/g脂肪まで約2倍の差がみられた。一方、一歳児のTSH濃度等に地域差はみられず、また血清中TSH値と母乳中のTEQ値との間に有意な関連性はみられなかった。1歳児において血清中TSHと生後5日目の乾燥ろ紙血液中TSH値には有意な相関性がみられた。

(2)症例対照研究

Sukdolovaら(2000)は、PCBに暴露された米国のモホークインデアンの30歳以上の女性を対象に、甲状腺機能低下症の症例対照研究を行っている。ほとんどのPCB同族体の血清レベルが症例の方で低かったが、PCB156 とPCB118については症例で高かった。ただし、統計的に有意かどうかは不明である。

Langerら(2003)はスロバキアにおいて、化学工場勤務者と化学工場付近の環境汚染地域の住民に対してPCBと他の有機塩素系化合物濃度を測定し、有機塩素系化合物が甲状腺機能に及ぼす影響について検討した。

PCB製造化学工場の長期間勤務者と工場付近住民101例(男59例、女42例:23~73歳)の汚染地域群、StropkovのPCB低曝露地域住民360例(男180例、女180例:21~74歳)の対照地域群における甲状腺容積、(超音波による)甲状腺の低エコー域および結節、抗甲状腺性ペルオキシダーゼ(抗TPO)抗体およびRIAで測定した血清中甲状腺刺激ホルモン(TSH)異常値の存在を調べた。PCB、HCB、γ-HCH、p,p'-DDT、p,p'-DDEの血清中濃度を高分解ガスクロマトグラフィーにより測定した。

対照群(2045±147ng/g脂質)と比較して、曝露群では血清中PCB値(7300±871ng/g脂質)が非常に高値であった。HCHを除いて、すべての有機塩素系化合物とその総計の値には正の相関性(P<0.001)が認められた。汚染地域群では、PCB値最高濃度群(PCB10000~58667ng/g脂質)に分類された23例(男17例、女6例)で甲状腺容積が最も大きく、他の438例では甲状腺容積は14.2±0.29mLであった。これらのデータから、甲状腺容積に影響を及ぼす可能性がある血清中PCB濃度の閾値は約10000ng/g脂質であることが示唆された。二元ANOVA分析では、汚染地域群では全例甲状腺容積が対照地域群よりも有意に大きいことが示された(P<0.001)。汚染地域群の男性では、甲状腺の低エコー域、甲状腺結節、抗TPO抗体陽性、TSH値異常の頻度が対照地域群の男性よりも高かったが、女性には相違はみられなかった。

(3)断面研究

Muraiら(1987)の油症患者124名を16年後に調査した結果では、血清T3、T4は対照群より有意に高く、TSHは対照群と差がなかった。血清PCBレベルとT3、T4、TSHの間に相関はみられなかった。甲状腺腫の頻度は女性で11/74(15%)であった。さらに、辻ら(1997)による油症患者の28年後の調査では、油症認定患者81例中8例に油症発症以後の甲状腺疾患(バセドウ病3例、慢性甲状腺炎2例、甲状腺癌2例、甲状腺腫瘍1例)がみられた。これらの甲状腺疾患有病者は血中PCB濃度が高値である者に多い傾向があった。これらの甲状腺疾患患者以外に、甲状腺検査のみで異常を示した者は6例で、4例はTSH軽度上昇、2例は軽度低下を示した。TSH上昇例の4例中3例は抗甲状腺抗体が陽性であり、慢性甲状腺炎による潜在性甲状腺機能低下症を疑わせる所見であった。TSH低値を示したものについては、バセドウ病ほど低下の程度が著しくなく病態は不明である。T4、T3、TSH については、対照群と差がなく、高度暴露群と低暴露群の間でも差がなかった。血清PCBレベルが高い群で抗サイログロブリン抗体陽性の頻度が高く(19.5% 対 2.5%)、抗ミクロソーム抗体も17%と高頻度であった。Guoら(1999)は台湾の油症患者の13年後の調査で甲状腺腫の頻度が高い(20%)ことを報告している。

Langerら(1996)は大規模なPCB環境汚染が約40年間続いていたスロバキアのPCB 製造工場の労働者とその周辺の住民を調べた。PCB濃度は、脂肪組織中で対照地区の約6倍、人母乳中で約2倍であった。労働者(大部分が女性)245名と対照地区の被験者572名とを比較すると、甲状腺容積が工場労働者で有意に大きかった。また、甲状腺腫大(20%、対照群9.4%)、抗サイロイドペロキシダーゼ抗体28.4%、対照群19%)、抗サイログロブリン抗体41.3%、対照群21%)、TSH受容体抗体(10.4%、対照群1.3%)がいずれも女性労働者で高頻度であった。血中T4、T3、TSH等については有意な差がなかった。また、Langerら(1998)は汚染されている都市と対照地域の17歳の青年(汚染都市454名、対照965名)について調べたところ、甲状腺容積が汚染されている都市の青年で有意に大きかったことを報告している。Emmetら(1988)は、アメリカの変圧器修理工でPCB暴露者55名(現在暴露者38名、過去暴露者17名)を、PCBに暴露されたことのない労働者56名と比較したところ、暴露者で血中T4が有意に低かった。T4とRT3Uの積からfree T4 indexを計算すると暴露者で有意に低かった。ただしPCB濃度との相関はなかった。Bahnら(1980)は、PCBの類似化合物であるPBBを取り扱う工場労働者35人について甲状腺機能検査を行ったところ、4名にTSHの明らかな上昇がみられ甲状腺機能低下症と診断された。ただし、うち一名には家族歴があった。対照群89名には甲状腺機能低下症はみられなかった。PBB群にTSHが上昇している者が多かった。

Mazhitovaら(1998)は、PCB類の汚染が広がっているカザフスタン共和国のアラル海周辺地域の7.5才から15才までの入院学童12人の甲状腺検査結果を対照のストックホルム市の学童と比較したところ、甲状腺ホルモンとTSH濃度には有意な差を観察しなかった。

Koopman-Esseboomら(1994)は、オランダで105組の新生児と母親のペアについて、甲状腺ホルモン(TT4、TT3, FT4, TSH)を測定し、また血液と母乳についてPCBとダイオキシンを測定した。PCBの濃度の高い乳汁を出す母親のT4、T3が低く、ペアをなす子供の生後2週間のTSH濃度が高かったことを観察している。Nagayamaら(1998)は、乳汁中のPCDD、PCDF、Co-PCBを測定し、1歳児36人の甲状腺機能との相関を見たところ、これらの物質の毒性指数(TEQ)とT4、T3が逆相関することを報告している。

Tsuji and Ito(2003)は油症患者に甲状腺機能検査を行い、油症原因物質の甲状腺機能に対する慢性的影響について検討した。油症認定患者115例(男48例、女67例:平均年齢63.3歳)に対して福岡県油症一斉検診を行った。甲状腺機能検査としては甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)を電気化学発光測定法により測定した。血中PCB濃度が2.3ppb未満の58例(低濃度群)と2.3ppb以上の57例(高濃度群)に分けて、両群間の甲状腺機能検査異常の出現頻度を検討した。

115例中、TSH値、T3値、T4値のいずれか1項目以上に異常を認めた患者は20例(17.4%)であった。TSH値の低下を6例(5.2%)、上昇を13例(11.3%)、T4値の上昇を1例(0.9%)に認めたが、T3値の異常を示した例はなかった。T3値の上昇を認めた13例では、全例T3値、T4値は正常であり、潜在性甲状腺機能低下状態と考えられた。血中PCB濃度とTSH値、T3値、T4値の間に相関はみられず、低濃度群と高濃度群間でTSH値異常出現率に差をみなかった。

2. HCB

(1)コホート研究

Gocmenら(1989)は、トルコのある地域において過去にHCBに暴露した集団のうち、その暴露が原因でポルフィリア症になった病歴がある者を対象として、約20-30年後に後向きの調査を行った。その結果、甲状腺肥大が34.9%にみられた。ただし、この研究では対照群等との比較は行われていない。

(2)症例対照研究

該当する文献はなかった。

(3)断面研究

Salaら(1999)は、スペインの電気化学工場近隣の大気中HCB濃度が高い地域の住民を調べた。無作為に抽出した対象者での平均血清中HCB濃度は、男性では、その工場で一度も働いたことのない者9.0 ng/mL、過去作業者27.1 ng/mL 、現在作業者54.6 ng/mL、女性では、一度も働いたことのない者14.9 ng/mL、過去作業者22.2 ng/mL 、現在作業者13.5 ng/mL であった。男女とも、その工場でこれまでに働いたことがある者と一度も働いたことがない者の間で甲状腺機能低下症の罹患率に有意な差はみられなかった。

Bloomら(2001)はNew York State Angler Cohort Stury(ニューヨーク州の釣り師コホート研究)の登録者から選択したスポーツマン66例のサンプルについて、環境中の有機塩素系化合物と甲状腺機能との関連性を検討した。本分析は断面研究を用いて行った。被験者の血液を採取し、総T4、トリグリセリド、コレステロール、HDL、LDL値を測定した。演繹的に甲状腺破壊作用を示すと思われている化合物(HCB、PCB-19、PCB-28、PCB-47、PCB-99、PCB-118、PCB-153、PCB-169、PCB-180、PCB-183、PCB-187)の血中濃度を電子捕獲検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いて測定した。総T4の平均値は7.78μg/dL、被験者の平均年齢は31.81歳であった。各被験者について試料採取時間、血清トリグリセリド、コレステロール、HDL、LDL、年齢、BMI、喫煙の有無を考慮し、可能性のある交絡因子に対する調整後、有機塩素系化合物と血清中総サイロキシンとの関連性を多変量回帰モデルを用いて検討した。各ステップに最大の偏相関の基準を用いて、入力されているすべての変量("完全"モデル、R2=0.380、p=0.136)と変量の階段的選択("縮小"モデル、α=0.15)を用いるモデルを構築した。縮小モデルでは、選択した予測因子を変化させずに検出限界値以下の汚染物質データを明らかにするため、いくつかの処置を行った。

ヘキサクロロベンゼン(β=-0.113)と年齢(β=0.007)は、縮小モデル(R2=0.083、P=0.065)において血清T4の予測因子として選択された。効力分析では、サンプルが倍増すると既存結果のI型エラーは0.05、効力は0.80となり統計学的に有意となった。

Salaら(2001)はスペイン、カタロニア、FlixのHCBに高濃度曝露した農村地域に居住する一般住民を対象に血清中PCB、HCB濃度と甲状腺ホルモン状態、肝酵素値との関連性について検討した。14歳以上の計608例(男249例、女359例:年齢中央値48.8歳)から血清、24時間尿を採取した。採血は空腹時に行った。甲状腺刺激ホルモン(TSH)、総および遊離サイロキシン(T4)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)を測定した(TSHは608例、他は192例について)。また血清中HCB濃度は電子捕獲検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いて測定した。男性の66.7%(166例)、女性の5.8%(21例)がかつて電子化学工場に勤務しており、工場勤務歴のない被験者においてもHCB濃度は平均16.8ng/mLと他の研究における一般群よりも高値であった。性、年齢、BMI、飲酒などの交絡変数で補正後、HCB、PCB濃度と血清中TSH、遊離T4、AST、ALTとに有意な関連性はみられなかった。一方、血清中HCB濃度には総T4値とは有意な負の相関性、GGTとは有意な正の相関性がみられ、HCB(ng/mL)が自然対数関数で1単位増加すると総T4は0.32μg/dL減少(p<0.05)し、 HCB(ng/mL)が自然対数関数で1単位増加するとGGTは相対的に10%増加した(p<0.05)。これらの関連性は総脂質含量または他の有機塩素系化合物による補正後においても変わらなかった。またPCBとT4、GGTとの関連性も小さいものの有意であった。しかしほとんどの被験者(92%)でT4とGGTは正常値内であった。他の生化学的マーカーとの関連性は認められなかった。

本結果から、これら地域住民の体内HCB量は甲状腺機能、酵素誘導活性にわずかな代謝的影響を及ぼしている可能性が示唆された。今後、幼児など比較的感受性群に対するこれら物質の健康への影響を検討する必要がある。

Hagmarら(2001)は成人男性において、有機ハロゲン化合物(OHS)の高濃度食事性曝露がホルモン値に影響するかを検討した。1991年にスウェーデン南東部Riga湾付近の5カ所の漁村に居住する漁師(スウェーデン群)男性43例(23~69歳)、1993年にRiga市および内陸部の小農村4カ所からの一般住民(ラトビア群)男性67例(24~79歳)について調査を行った。魚類摂食量はスウェーデン群で月平均4食(0~20)、ラトビア群で月平均6食(0~32)であったがいずれも差が大きかった。血漿サンプル中のCB-153を含むPCBコンジェナー18種、4-OH-CB107を含むヒドロキシPCB5種、p,p'-DDT、p,p'-DDE、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロフェノール(PCP)、BDE-47(2,2',4,4'-テトラブロモジフェニルエーテル)を測定した。また卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、遊離総T3、遊離総T4、遊離テストステロンの血漿中濃度を分析した。

年齢による補正後、BDE-47と血漿中甲状腺刺激ホルモン(p<.001)、PCPと卵胞刺激ホルモン(p=.04)の間にのみ有意な負の相関性が示された。遊離テストステロンとp,p'-DDE、総PCB、総ヒドロキシPCB、HCBとの間にも弱い負の相関性がみられたが、年齢による補正後、相関性は有意ではなかった。OHSはLH、プロラクチン、TT3、FT3、TT4、FT4の血漿中濃度のいずれとも有意な相関性を示さなかった。

Hagmerら(2001)は成人女性におけるPCB値と甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺ホルモンの血漿中濃度との関連性についても調べた。1973~1991年に出産したスウェーデン東沿岸における漁師の妻182例を対象とした。年齢中央値42歳(23~62歳)で、月に2食(0~12)はバルト海からの汚染された脂肪魚を摂食していた。免疫蛍光法により、TSH、遊離(FT3)、総(TT3)トリヨードサイロニン、遊離(FT4)、総(TT4)サイロキシンの血漿中濃度を測定した。また電気捕獲検出器を備えたガスクロマトグラフィーにより2,2'、4,4'、5,5'-ヘキサクロロビフェニル(CB-153)の血漿中濃度を測定した。さらにCB-153値の最高濃度群16例(275~776ng/g脂質)と最低濃度群16例(16~103ng/g脂質)については他の20種のPCBコンジェナーと2種のヒドロキシPCBについても測定した。

CB-153の血漿中濃度(16~776ng/g脂質)はTT3濃度(1.0~3.0nmol/L)と負に相関した(rs=-0.29、P<0.001)。多変量解析において、年齢に対して補正後においてもCB-153とTT3の間にはわずかな負の関連性が認められた(p=0.03)。CB-153とTT4濃度との関連性は弱く、有意ではなかった(rs=-0.13、p=0.07)。CB-153は他のいずれのホルモンパラメータとも相関しなかった。

Rathoreら(2002)は有機塩素系殺虫剤の負荷量と甲状腺機能に及ぼす影響について検討した。1997~1998年にインド、Sawai Man Singh医科大学病院外来を受診したJaipur市に居住する女性123例について血清中甲状腺ホルモン値を測定した。100例はT4、TSH値が正常(甲状腺機能正常群)、23例が血清中T4値低下とTSH値上昇を示した(甲状腺機能低下群)。ガスクロマトグラフィーを用いて、2群間における有機塩素系殺虫剤の質的、量的評価を行った。

検出された殺虫剤のうち、総DDT(p,p'-DDD、p,p'-DDE、p,p'-DDT)は両群とも高く(甲状腺機能正常群6.91±0.55ppm、甲状腺機能低下群8.43±1.15ppm)、次いで総HCH(各3.86±0.35ppm、3.82±0.68ppm)であった。ジエルドリンは甲状腺機能正常群では2.5±0.31ppmであったが、甲状腺機能低下群では5.38±1.23ppmと有意に高かった(p<0.05)。ヘプタクロルは甲状腺機能正常群で1.41±0.15ppm、甲状腺機能低下群で1.18±0.24ppmであった。被験者の大半が高年齢であったが(31~40歳:44例、41~50歳:32例)、農薬残流量は11~20歳(25.18±1.8ppm)、21~30歳(23.38±6.06ppm)の甲状腺機能低下群でより多かった。

Garryら(2003)は慢性疾患のない農薬散布者144例と都市住民対照群49例において、農薬散布と甲状腺機能との関連性を検討した。農薬使用状況により、除草剤散布のみ(24例)、殺菌剤と殺虫剤(42例:殺菌剤の空中散布17例、地上散布25例)、当散布期間中に農薬使用なし(52例)、対照群(49例)に分けて、夏季と秋季の2回採血し、血中ホルモン濃度を測定した。

除草剤散布のみの群では、夏季に比べて秋季でテストステロン値の有意な上昇がみられ、また秋季には卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)値の上昇も認められた。殺菌剤使用についての初期断面疫学研究では、過去の殺菌剤使用歴は散布者間で出生した児の性別比の有意な変化に関連していることが明らかとなっているが、本研究被験者間でも過去の殺菌剤使用歴は女児の出生数の増加に関連していた。また4分位した平均総テストステロン濃度が平均値より低い群では、女児の出生数の増加が認められた。農薬散布者間では甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度の夏季から秋季にかけての低下がみられ、特に当シーズン中に殺菌剤の空中散布を行った群では、TSH値(1.75~1.11mU/L)に有意な変化が示されたが、対照群にはみられなかった。無症候性甲状腺機能低下症は、対照都市住民被験者間では少なかったが、散布者間では144例中5例(TSH値>4.5 mU/L)に認められた。

Ribas-Fitoら(2003)はヘキサクロロベンゼン(HCB)の高濃度地域で出生した新生児における甲状腺状態と有機塩素系化合物の出生前曝露との関連性について調べた。

スペイン、Flixの電気化学工場付近のHCBに汚染された農村地域から1997~1999年に出生した新生児とその母親98組を登録し、新生児70例における臍帯血中の有機塩素系化合物(HCB、p,p'-DDE、β-HCH、PCB)濃度を電子捕獲検出器を備えたガスクロマトグラフィーにより測定した。誕生から3日後にすべての新生児血漿中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度を測定した。新生児のTSH濃度は全例正常値内(<25mU/L)であり、TSH<10mU/Lが60例、TSH≧10mU/Lが10例であった。p,p'-DDE、β-HCH、PCB-138、PCB-118がTSH高値と関連していたが、妊娠齢による補正後の多変量回帰分析では、β-HCHのみが有意であり、TSH≧10mU/Lに対するβ-HCHのオッズ比は1.81(95%信頼区間:1.06~3.11、p=0.03)であった。一方、HCB値はTSH値と関連していなかった。

(4)介入研究

Pelletierら(2002)は有機塩素系化合物は減量中に体脂肪から血流に放出され、安静時代謝率(RMR)の制御に関与する甲状腺の状態を障害する可能性があることに着目し、体重減少に反応した血漿中有機塩素系化合物濃度の上昇が血清中T3濃度とRMRの低下に関連するかどうか検討した。

16例の肥満男性に対して、三大栄養素以外の特殊エネルギー制限食で15週間フォローした。減量前後に血漿中有機塩素系化合物濃度、血清中T3濃度、RMRを測定した。

減量プログラム後に、血清中T3濃度とRMRの有意な低下が認められた。17種の有機塩素系化合物(β-HCH、p,p'-DDT、p,p'-DDE、HCB、ミレックス、オキシクロルデン、trans-ノナクロル、アロクロル-1260、PCB-28、PCB-99、PCB-118、PCB-138、PCB-153、PCB-156、PCB-170、PCB-180、PCB-187)が血漿中から検出されたが、減量中に13種の有機塩素系化合物濃度が有意に上昇した。有機塩素系化合物濃度の変化は減量に対して補正後の血清中T3濃度(p,p'-DDT、HCB、アロクロル-1260、PCB-28、PCB-99、PCB-118、PCB-170について有意)とRMR(HCBとPCB-156について有意)の変化と負の関連性を示した。

3. その他の物質

(1)コホート研究

なし。

(2)症例-対照研究

なし

(3)断面研究

Nagayamaら(2001)は油症事件発生約30年後の油症患者16例に対してポリクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(PCDD)、ポリクロロジベンゾフラン(PCDF)、コプラナーポリ塩化ビフェニル(co-PCB)の甲状腺ホルモンと免疫応答系への影響を調べた。

1996~1997年に、油症患者16名(男3名、女13名:28~75歳)と83例の対照被験者の血液を採取して、血清サンプル中のT3、T4、TSH値を測定した。また間接免疫蛍光法、ラテックス凝集光学的免疫測定法(LPIA)などを用いて、血液中のリンパ球サブセット、自己抗体、免疫グロブリン値を測定した。

油症患者における血液中の毒性当量(TEQ)レベルは27.8~1048.5pg/g脂肪、中央値は222.4pg/g脂肪で、対照健常群よりも約7倍高かった。1例で血清中T4値が15.5μg/dLと正常範囲(4.6~12.6μg/dL)から若干逸脱していたが、全例血清中T3、T4、遊離T4、TSH値は正常値であった。また血液中の免疫グロブリン(IgA、IgG、IgM)、自己抗体(抗核抗体、リウマチ様因子、LE因子)、リンパ球サブセットに影響はみられなかった。一方、リウマチ様因子の陽性率は血中TEQ高値群で増加していた。

Pavukら(2003)は2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(TCDD)血清中濃度が甲状腺機能に及ぼす健康への影響の可能性を、1962年~1971年のベトナム戦争中に使用されたTCDDに汚染された枯れ葉剤を含む除草剤空中散布作戦(Operation Ranch Hand)に携わった経験のある退役軍人(曝露群)と散布作戦には関わらなかった退役軍人(比較群)を比較して検討した。

血清中TCDD値に対するサイロキシン(総T4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トリヨードサイロニン取込み率(T3取込%)、遊離サイロキシン指数(FTI)および甲状腺疾患について分析した。1982年、1985年、1987年、1992年、1997年の5回の検査のうちいずれかに登録された曝露群1009例、比較群1429例からデータを入手した。各被験者は血清TCDD値に基づいて、比較群、Ranch Handバックグラウンド群、Ranch Hand低上昇群、Ranch Hand高上昇群の4曝露濃度カテゴリーに分類した。

平均血清中TCDD値は比較群4.6ppt、バックグラウンド群5.8ppt、低上昇群15.6ppt、高上昇群69.4pptであった。断面分析では、1985年と1987年の検査時にRanch Hand高上昇群においてTSH値の統計学的に有意な上昇、1982年、1985年、1987年、1992年検査時におけるRanch Handの3群にわたるTSH平均値の統計学的に有意な上昇傾向が示された。反復測定分析では、Ranch Hand高上昇群におけるTSH平均値の有意な上昇が認められた。血清中TCDD値の濃度による甲状腺疾患の発生率に有意な関連性はみられなかった。

(4)地域相関研究

Sandauら(2002)は1993~1996年にカナダケベックの3カ所の地域から得た臍帯血サンプル中のPCB、PCBの水酸化代謝産物(4-HO-HpCS)、ペンタクロロフェノール(PCP)濃度を測定した。海産物を中心とした食事のためPCB曝露が高い2カ所の地域Nunavik(イヌイット系人種)とSt. Lawrence湾のLower North Shore(生活権漁業)とPCB曝露がバックグランド濃度である南部ケベックの都心(ケベック市)の3カ所の地域における新生児臍帯血中のPCB、4-HO-HpCS、PCP濃度を測定した。

すべての地域において主な塩素化フェノール化合物はPCPであった。血漿中の平均PCP濃度は1670pg/g(628~7680pg/g湿重量)で有意な地域差はなかった。PCPとCB-153の濃度比は0.72~42.3の範囲であった。血漿中の平均総HO-PCB濃度はLower North Shore群で553(238~1750)pg/g湿重量、Nunavik群で286(103~788)pg/g湿重量、南部ケベック群で234(147~464)pg/g湿重量の順であった。Lower North Shore群では、血漿中総PCB(49コンジェナーの合計)濃度の平均値は2710(525~7720)pg/g湿重量で、Nunavik群(1510pg/g湿重量)、南部ケベック群(843pg/g湿重量)に比べて最も高かった。総HO-PCBと総PCB濃度(対数変換)は有意に相関していた(r=0.69、p<0.001)。Nunavik群とLower North Shore群では、遊離サイロキシン(T4)濃度(対数変換)は総塩素化フェノール化合物濃度と負に相関したが(総PCP、総HO-PCB;r=-0.47、p=0.01、n=20)、各PCBコンジェナーまたは総PCBとは関連しなかった。

考察

PCBと甲状腺機能に関しては、油症や職業性暴露など比較的高濃度暴露を受けた集団での研究があり、PCBが甲状腺機能に何らかの影響を及ぼしていることを示唆する報告が多い。ただし、コホート研究、コホート内症例対照研究など良くデザインされた疫学研究は少なく、このために観察された変化が真に臨床的に有意なものであるのかどうかの判断は困難である。観察された甲状腺への影響の機序として、ホルモンレセプターへの結合を介してのいわゆる内分泌系のかく乱以外に、(a)潜在的な甲状腺自己免疫異常を顕在化する、(b)甲状腺に対する作用(例えばラットでは甲状腺に組織学的な肥大を起こすことが知られている)、特に、甲状腺上皮細胞の肥大などを通じて、抗原の提示が起こり、新たに甲状腺自己免疫異常が生ずる、の二つも考慮しておく必要がある。また、子供や授乳期の母親における研究以外に、一般人口においてPCBの影響を調べた研究はなく、一般人口においても体内の残留が無視できないため研究が必要である。

PCB以外には有機塩素系化合物のHCBについての報告があったが、ほとんどが断面研究であり、甲状腺機能に影響があるかどうかは現状の文献のみでは判断できなかった。

以上のように、化学物質と甲状腺機能との関連についての疫学研究の知見は、PCBについてはいくつか報告があった。しかし、それら以外の物質に関する研究は現状ではほとんどなく、因果関係を評価することは不可能である。有機塩素系化合物のHCBで甲状腺機能への影響が疑われていることを考慮すると、今後は、PCB以外の有機塩素系化合物の物質についても研究を行う必要がある。

結論

内分泌かく乱化学物質暴露と甲状腺機能についての疫学研究をレビューしたところ、PCBについては甲状腺機能に何らかの影響を及ぼしているという結果が複数の研究で報告されていた。他の有機塩素系化合物に関してはHCBについてのみ研究されていたが、現時点での知見では、甲状腺機能に影響を及ぼすかどうかは判断できない。その他の化学物質、特に有機塩素系化合物と甲状腺機能の関連に関する研究がなく、両者の因果関係を適切に評価することは不可能であった。この点については信頼性の高い研究デザインを用いた研究の必要性が示唆された。

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