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多目的コホート研究(JPHC Study)

多層的オミックス技術を用いる研究計画(2013年10月)

多層的オミックス技術を用いる研究計画のご案内

 

多目的コホート研究では、約14万人の方に研究にご協力いただいています。そのうち、約6万人の方から、研究のために血液をご提供いただき、国立がん研究センターで冷凍保存管理しております。 この保存血液を用いて、血液中のたんぱく質や代謝物の量や遺伝子タイプなどの違いが生活習慣と病気との関連にどのように影響するのかを調べるオミックス研究の計画が、2011年8月に国立がん研究センターの研究倫理審査委員会により承認されました。国立がん研究センターにおける研究倫理審査については、公式ホームページをご参照ください。(2011-044)

 

この研究の対象者は、ベースラインまたは5年後調査において血液を提供していただいた約5万4000人です。遺伝子タイプを調べる研究を行うにあたっては、血液の提供者に対し、研究の目的や問い合わせの方法などをご案内するように義務付けられています。研究班では、2011年11月までに、すでに亡くなられた方など郵送物の送付が不可能であった方を除く約4万7000人の対象者にニュースレターを郵送により配布するとともに、研究班のホームページ上でオミックス研究計画のご案内を公開しました。数人の方からお問い合わせを受け、保存血液をオミックス研究に用いて欲しくないというご希望のあった方の血液を除外し、12月より研究を実施しています。

 

オミックス研究計画のご案内(2011年11月)

 

 

以下に、どのような研究を実施しているのかについての研究計画をご案内します。いずれも、検査結果を誰のものかわからないように匿名化して、各グループの検査データの傾向を比較する研究です。ひとりひとりの検査結果を取り扱うことはありませんが、ご自分の試料が研究の対象になると思われるが、以下のいずれかの研究には使用して欲しくないとお考えになる方は、その旨をJPHC 研究事務局までお伝えくださいますよう、お願いいたします。 なお、研究への使用の拒否の意思を表明されても、診療の機会などで、いかなる意味においても不利益をこうむることはありません。また、研究計画の性格上、ご提供いただいた試料が必ずしも該当研究に用いられているとは限りません。さらに、すでに匿名化され解析が行われたデータについては、データの取り消しを希望されても、すべてに対応できない場合があります。

オミックス研究としてどのような研究が行われるのか、その個別の研究計画について、以下にご案内します。リストの研究のテーマをクリックすると、研究計画の概要がご覧になれます。

 


 

オミックス研究計画の概要

 

index

◆研究で計画されている遺伝子解析検査等の内容について

◆研究デザインについて

◆情報管理について

◆個別の研究計画について

 I オミックス研究計画の枠内で行われている研究計画

 II 倫理審査委員会でオミックス研究に基づく研究計画への追加が承認されたもの

◆遺伝子情報に関する詳細

 I ヒトゲノムと個人差について

 II ヒトゲノムに見られる変異と多型について

 III ヒトゲノムに見られる一塩基多型について

 


 

多目的コホート研究(JPHC Study)において採取・保存されている血液試料からゲノム・エピゲノムをはじめとするオミックスデータを取得し、環境要因と組み合わせながら、疾病罹患・死亡との関連を検討する研究です。環境要因と組み合わせながら、がん、循環器疾患(脳卒中・心筋梗塞)、糖尿病をはじめとする国民の生活の質の低下や平均寿命前の死亡に帰結する疾病・傷害等との関連を検討し、健康維持手法の開発に資することを目的としています。

追跡期間中に研究対象となる疾病に罹患した方(症例)と、罹患しなかった方(対照)、あるいは、無作為抽出されたグループ(サブコホート)の間で、血液を用いてオミックス解析を行い、そのデータからどのような違いが見いだせるのかについて統計学的に分析し、疾病の原因を探ります。

特に、オミックス解析では、細胞内の遺伝配列やその産物、代謝物質など、生体分子全体について、あらかじめ仮説に基づく特定のターゲットに絞らず、網羅的な検査を行うのが特徴です。この方法からは、疾病の早期発見や発症予測、メカニズム解明のための有用なバイオマーカーの開発が期待されます。このような知見を蓄積し、さらに環境要因との組み合わせにより、個人の生体分子情報に基づく疾病予防法の解明が進むことが期待されます。これにより日本人における健康維持のための合理的な手法が示され、日本人全体の健康の向上に貢献できる可能性があります。

◆研究で計画されている遺伝子解析検査等の内容について

オミックス研究では、次のような遺伝子解析結果のデータを解析することが計画されています。

A)    候補遺伝子解析:これまでの研究結果をもとに、仮説に基づいて炎症関連遺伝子多型、代謝酵素関連遺伝子多型など特定の遺伝的多型を検査

B)    ゲノム網羅的SNP解析:遺伝的多型を全遺伝領域にわたり位置のマーカーを用いてマッピングする検査

C)    エクソーム解析:遺伝領域のうちタンパク質の設計図に当たるエクソン領域の塩基配列を、次世代シークエンサーを用いて決定

解析予定の遺伝的多型には、①発がん物質や薬剤の代謝酵素、②がん関連遺伝子③ホルモンに関連する酵素や受容体④脂肪、ビタミン、アルコールに関連する酵素や受容体⑤炎症や免疫に関与する酵素や受容体⑥DNA修復酵素⑦ドーパミンやセロトニンに関連した酵素⑧糖尿病に関連する遺伝子⑨肥満に関連した遺伝子⑩凝固因子に関連した遺伝子等が含まれます。

また、DNAメチル化などのエピゲノム解析、血漿中エクソーム内のmiRNAの分析などのトランスクリプトーム解析、血漿検体を用いたプロテオーム(血漿中のタンパク質を網羅的に検査)およびメタボローム解析(血漿中の代謝物を網羅的に検査)を行う予定です。その他、これまでの多目的コホート研究と同様に、血漿中の脂質関連マーカー、炎症関連マーカー、ウイルス・細菌などの感染マーカー、栄養素関連マーカー、ホルモン関連マーカー、化学物質など分析を行います。

 

◆研究デザインについて

(1)  ケースコントロール研究: 症例群と対照群でデータを解析します。

症例群:追跡期間中に研究対象となる疾病に罹患した方の血液のデータを用います(ケース)。

対照群:コホート内症例対照研究では研究対象とする疾病にならなかった方から、症例1に対し1あるいは2になるように、年齢・性別・地域などの条件をマッチさせた方を抽出し、データを比較します(コントロール)。

(2)ケースコホート研究: 症例群とコホートから無作為に選ばれたサブコホートでデータを解析します。

 

◆情報管理について

多目的コホート研究で用いられる研究用の識別番号と、本研究で新しくつけた識別番号の対応表は、「「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」適用研究における個人情報取扱細則」が定めるゲノム研究個人情報管理者(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長)によって厳重に管理され、本研究にかかわる研究者はこの対応表にアクセスできません。ただし本研究においては、研究代表者が国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長であるため、本研究における個人情報管理は分担管理者が代行します 。


◆個別の研究計画について

I オミックス研究計画の枠内で行われている研究計画

☆ IRB No. 2011-044 承認日: H23年8月25日

No  

研究のテーマ 

研究倫理審査委員会

承認日

1

サブコホート研究

2

全がんを対象にしたケースコホート研究

3

大腸がんコホート内症例対照研究

4

大腸がん国際共同研究 *

2010-164

H24年7月11日(変更申請)

5

糖尿病コホート内症例対照研究

6

胃がんコホート内症例対照研究

7

膵がんコホート内症例対照研究

8

肝がんコホート内症例対照研究 *

2013-109

H25年9月27日

*研究代表者が国立がん研究センター以外、あるいは主たる研究機関が国立がん研究センター以外の場合など、研究計画の内容に応じて、別途、国立がん研究センター研究倫理審査委員会の審査を受けた計画。

 


 

1. サブコホート研究 

検討項目:

(1)  ゲノム網羅的SNP解析

(2)  エクソーム解析

方法と目的:

ゲノム網羅的SNP解析では、ヒトの遺伝的多型を全遺伝領域にわたり解析します。エクソーム解析では、遺伝領域のうちタンパク質の設計図に当たるエクソン領域を詳細に解析します。

ゲノム網羅的SNP解析は、ベースライン調査に参加し、血液を提供して下さった約4万名のうち、無作為に選ばれた約1万名を対象にする計画です。エクソーム解析は、無作為で選ばれた約1万名の中から、更に無作為で選ばれた約200名を対象にする計画です。このエクソーム解析の結果は、個人情報などとの照合ができない形式で匿名化を行い、通常よりもさらに厳しい条件で情報管理を行っています。

本研究から日本人の遺伝的背景が明らかとなり、日本人集団で様々な疾患の遺伝学的研究を行うのに有用な基礎的情報が構築される可能性があります。また、様々疾病に罹患した方(症例)との比較に使われます。

共同研究機関:

国立がん研究センター研究所

主たる研究費:

文部科学省 社会システム改革と研究開発の一体的推進(平成23年度から25年度)

 


 

2. 全がんを対象にしたケースコホート研究 

検討項目:

(1)  候補遺伝子解析

方法と目的:

本研究では、近年のゲノム網羅的SNP解析でがんと関連する可能性が示唆された遺伝的多型を中心に約200の遺伝的多型について全がんとの関連を検討します。また、遺伝的多型と生活習慣および環境要因を組み合わせて、全がんとの関連を検討します。

実際の解析は、ベースライン調査に参加し、血液を提供して下さった約4万名のうち、追跡期間中にがんとなった約4000名を対象にする計画です。また、サブコホート研究から得られる日本人の遺伝的背景に関する基礎的情報も活用します。

本研究から、様々ながんに関連する遺伝的多型が明らかとなる可能性があります。また、遺伝的多型の違いにより、がん罹患に対する生活習慣、環境要因の影響の違いが明らかになる可能性があります。

共同研究機関:

国立がん研究センター研究所

主たる研究費:

文部科学省 社会システム改革と研究開発の一体的推進(平成23年度から25年度)

 


 

3. 大腸がんコホート内症例対照研究 

検討項目: 

(1)  候補遺伝子解析

(2)  ゲノム網羅的メチル化解析(ベースライン)

(3)  ゲノム網羅的SNP解析

(4)  ゲノム網羅的メチル化解析(5年後)

方法と目的:

候補遺伝子解析では、9の候補遺伝子から46の遺伝的多型の解析を行います。ゲノム網羅的SNP解析では、ヒトの遺伝的多型を全遺伝領域にわたり解析します。これらの遺伝的多型と大腸がんの関連を検討します。さらに、遺伝的多型と生活習慣および環境要因を組み合わせて、大腸がんとの関連を検討します。

ゲノム網羅的メチル化解析では、遺伝子の発現に影響を与えるメチル化の程度を全遺伝領域にわたり解析し、大腸がんとの関連を検討します。メチル化の程度は時間経過とともに変化するので、ベースライン調査および5年後調査で得られた同じ対象者の血液を用いて解析を繰り返す計画です。

実際の解析は、大腸がん症例356名と対照709名とを対象に行う計画です。

本研究から、大腸がんに関連する遺伝的多型や遺伝子のメチル化が明らかとなる可能性があります。また、遺伝的多型の違いにより、大腸がん罹患に対する生活習慣、環境要因の影響の違いが明らかになる可能性があります。

共同研究機関:

国立がん研究センター研究所

主たる研究費:

文部科学省 社会システム改革と研究開発の一体的推進(平成23年度から25年度)

 


 

4.大腸がんの国際共同研究 

検討項目:

(1)  ゲノム網羅的SNP解析

方法と目的:

本研究では、大腸がん症例694名と対照694名のDNA試料を国際共同研究に提供し、ヒトの遺伝的多型を全遺伝領域にわたり解析するゲノム網羅的SNP解析を行い、大腸がんとの関連を検討します。さらに遺伝的多型と生活習慣および環境要因を組み合わせて、大腸がんとの関連を検討します。

本研究から、大腸がんに関連する新たな遺伝的多型が明らかとなる可能性があります。また、遺伝的多型の違いにより、大腸がん罹患に対する生活習慣、環境要因の影響の違いが明らかになる可能性があります。

共同研究機関:

ハワイ大学がん研究センター

主たる研究費:

ハワイ大学がん研究センターの研究代表者による米国研究費

 


 

5. 糖尿病コホート内症例対照研究 

検討項目:

(1)  候補遺伝子解析

方法と目的:

候補遺伝子解析では、20の候補遺伝子から24の遺伝的多型を選択し、糖尿病との関連を解析する計画です。また、これらの遺伝的多型と生活習慣および環境要因を組み合わせて、糖尿病との関連を検討します。

実際の解析は、糖尿病症例1959名と対照2875名とを対象に行う計画です。

本研究から、糖尿病に関連する遺伝的多型が明らかとなる可能性があります。また、遺伝的多型の違いにより、糖尿病に対する生活習慣、環境要因の影響の違いが明らかになる可能性があります。

共同研究機関:

国立国際医療研究センター

主たる研究費:

文部科学省 社会システム改革と研究開発の一体的推進(平成23年度から25年度)

 


 

6. 胃がんコホート内症例対照研究 

検討項目:

(1)  候補遺伝子解析

方法と目的:

候補遺伝子解析では、17の候補遺伝子から32の遺伝的多型を選択し、胃がんとの関連を解析します。また、これらの遺伝的多型と生活習慣および環境要因を組み合わせて、胃がんとの関連を検討します。

実際の解析は、胃がん症例511名と対照511名とを対象に行う計画です。

本研究から、胃がんに関連する遺伝的多型が明らかとなる可能性があります。また、遺伝的多型の違いにより、胃がん罹患に対する生活習慣、環境要因の影響の違いが明らかになる可能性があります。

共同研究機関:

愛知県がんセンター

主たる研究費:

厚生労働省 第3次対がん総合戦略研究事業(平成24年度から25年度)

 



7. 膵がんコホート内症例対照研究 

検討項目:

(1)  ゲノム網羅的メチル化解析

(2)  ゲノム網羅的SNP解析

方法と目的:

ゲノム網羅的メチル化解析では、遺伝子の発現に影響を与えるメチル化の程度を全遺伝領域にわたり解析し、膵がんとの関連を検討します。ゲノム網羅的SNP解析では、ヒトの遺伝的多型を全遺伝領域にわたり解析し、膵がんとの関連を検討します。また、遺伝的多型と生活習慣および環境要因を組み合わせて、膵がんとの関連を検討します。

実際の解析は、膵がん症例150名と対照300名とを対象に行う計画です。

本研究から、膵がんに関連する遺伝的多型や遺伝子のメチル化が明らかとなる可能性があります。また、遺伝的多型の違いにより、膵がん罹患に対する生活習慣、環境要因の影響の違いが明らかになる可能性があります。

共同研究機関:

国立がん研究センター研究所

主たる研究費:

厚生労働省 難病がん等の疾患分野の医療の実用化研究事業(平成23年度から25年度)

 



 8. 肝がんコホート内症例対照研究 

検討項目:

(1)  ゲノム網羅的SNP解析

方法と目的:

ゲノム網羅的SNP解析では、ヒトの遺伝的多型を全遺伝領域にわたり解析し、肝がんとの関連を検討します。また、遺伝的多型と生活習慣および環境要因を組み合わせて、肝がんとの関連を検討します。

実際の解析は、肝がん症例69名と対照259名とを対象に行う計画です。

本研究から、肝がんに関連する遺伝的多型が明らかとなる可能性があります。また、遺伝的多型の違いにより、肝がん罹患に対する生活習慣、環境要因の影響の違いが明らかになる可能性があります。

共同研究機関:

名古屋市立大学

主たる研究費:

厚生労働省 肝炎等克服緊急対策研究事業(平成25年度から27年度)

 

 


 

II 倫理審査委員会でオミックス研究に基づく研究計画への追加が承認されたもの

 多目的コホート研究ではこれまでに保存血液を使った研究を行ってきました(保存血液を用いる研究計画)。これらの研究は、遺伝子のタイプなどを扱うゲノム解析は対象とせず、血漿中の脂質関連マーカー、炎症関連マーカー、ウイルス・細菌などの感染マーカー、栄養素関連マーカー、ホルモン関連マーカー、化学物質などを対象としていました。今回は、これらの研究にプロテオームやメタボロームなどのオミックス解析を加えた研究を計画しました。

 

No

研究のテーマ  

IRBNo.

(承認日)

1

大腸がんコホート内症例対照研究

【研究概要pdf】

15-55

H24年12月17日(変更申請)

2

膵がんコホート内症例対照研究

【研究概要pdf】

2012-256

H23年4月1日(変更申請)

 

 


 

1. 大腸がんコホート内症例対照研究 

検討項目:

(1)  プロテオーム解析

(2)  メタボローム解析

方法と目的:

プロテオーム解析では血漿中のたんぱく質を網羅的に解析し、大腸がんとの関連を検討します。メタボローム解析では血漿中の代謝物を網羅的に解析し、大腸がんとの関連を検討します。

実際の解析では、まず初めに大腸がん症例60名と対照117名を比較し、大腸がんに関連するバイオマーカーの候補を探索します。次に、候補となったバイオマーカーを大腸がん症例375名と対照750名との比較で検証し、大腸がんにより確からしく関連するバイオマーカーを見いだします。

本研究は、大腸がんを早期発見したり、将来の大腸がんを予測したりするのに有用なバイオマーカーの開発に役立つ可能性があります。

共同研究機関:

国立がん研究センター研究所、神戸大学

主たる研究費:

厚生労働省 難病がん等の疾患分野の医療の実用化研究事業(平成23年度から25年度)

 


 

2. 膵がんコホート内症例対照研究 

検討項目:

(1)  アポリポタンパク

(2)  αフィブリノーゲンにおける水酸化プロリン

(3)  24候補タンパクに対する絶対定量プロテオーム解析

(4)  肥満関連バイオマーカー

(5)  メタボローム解析

方法と目的:

既存のタンパク分析法や絶対定量プロテオーム解析により、膵がんとの関連が示唆されている候補タンパクを分析し、膵がんとの関連を検討します。メタボローム解析では血漿中の代謝物を網羅的に解析し、膵がんとの関連を検討します。

実際の解析では膵がん症例170名と対照340名とを比較し、膵がんに関連するバイオマーカーを見いだします。

本研究は、膵がんを早期発見したり、将来の膵がんを予測したりするのに有用なバイオマーカーの開発に役立つ可能性があります。

共同研究機関:

国立がん研究センター研究所、東北大学、熊本大学、神戸大学

主たる研究費:

厚生労働省 難病がん等の疾患分野の医療の実用化研究事業(平成23年度から25年度)

 


 

◆遺伝子情報に関する詳細

I ヒトゲノムと個人差について

ヒトの全遺伝情報を「ヒトゲノム」と言います。ヒトゲノムが全く同一なのは、一卵性双生児の様に一つの受精卵から誕生した兄弟、または、姉妹だけです。しかし、全く同一でないとしても、ヒトゲノムの個人差は僅かしかありません。2003年に完了した国際ヒトゲノムプロジェクトから、ヒトゲノムの個人差は約0.1%に過ぎないことが分かりました。とは言え、ヒトゲノムは、文字に換算すると約30億文字に相当する膨大な情報です。割合としては僅かであっても、数にすると約300万文字相当の遺伝情報が個人間で異なっていることになります。全てではありませんが、ヒトゲノムに見られる遺伝情報の違いが、姿・形・体質などの個人差に繋がっていると考えられています。

II ヒトゲノムに見られる変異と多型について

ヒトゲノムに見られる遺伝情報の違いは、その頻度をもとに呼び方が異なります。1~5%未満の頻度で見られる比較的稀な違いは「変異」と呼ばれ、1~5%以上の頻度で見られる比較的多い違いは「多型」と呼ばれています。一般的に、遺伝情報の違いによる影響は、変異の方が強く、多型の方が弱いと考えられています。多目的コホート研究を基にした「多層的オミックス技術を用いる研究計画」では、ヒトゲノムに見られる遺伝情報の違いのうち多型を主な対象として、がんをはじめとする生活習慣病のゲノム研究を行っています。

III ヒトゲノムに見られる一塩基多型について

ヒトゲノムの遺伝情報は、DNAの塩基配列と言う形でヒトを構成する細胞の核に保存されています。ヒトゲノムの塩基配列を調べていくと、一か所の塩基配列が個人間で異なっていることがあります。このように、ヒトゲノムに見られる一塩基の変化は、「一塩基多型」と呼ばれています。一塩基多型が、ヒトゲノムの機能的な部分(タンパク質の設計図にあたる部分やタンパク質の合成を調整する部分)に生じると、ヒトゲノムをもとに生体内で合成されるタンパク質の質や量に変化が生じることがあります。

 

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