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現在までの成果

コーヒー・緑茶摂取と悪性リンパ腫・多発性骨髄腫

―多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告―

 

私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2017年現在)管内にお住まいだった、40~69歳の男女約9万5千人の方々を平成24年(2012年)まで追跡した調査結果にもとづいて、コーヒー・緑茶摂取と悪性リンパ腫・多発性骨髄腫の罹患との関連を調べた結果を専門誌で論文発表しましたので紹介します(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2017 Aug;26(8):1352-1356)。

コーヒーや緑茶は抗酸化作用のあるカフェインやポリフェノールが含まれており、一部のがんについてはがん予防効果が報告されていますが、コーヒー・緑茶摂取と悪性リンパ腫、多発性骨髄腫罹患との関連についてはよくわかっていません。そこで、私たちは、日本人における、コーヒー・緑茶摂取と悪性リンパ腫・多発性骨髄腫罹患との関連を調べました。

 

研究方法の概要

調査開始時のアンケート調査における、コーヒー・緑茶の摂取習慣の項目についての回答をもとにして、コーヒーを飲む頻度で「飲まない(月に1回未満)」、「時々飲む(月に1-4回)」、「1日1-2杯飲む」「1日3杯以上飲む」グループの4つのグループに分けました。緑茶摂取については、緑茶を飲む頻度で「飲まない(月に1回未満)」、「時々飲む(月に1-4回)」、「1日1-2杯飲む」「1日3-4杯飲む」「1日5杯以上飲む」グループの5つのグループに分けました。
平均で約18年の追跡期間中に、悪性リンパ腫 411人、多発性骨髄腫138人の罹患が確認されました。年齢、性別、居住地域、喫煙、飲酒、職業と肥満指数の偏りが結果に影響しないように考慮して、コーヒー・緑茶摂取と悪性リンパ腫・多発性骨髄腫の罹患率との関連を検討しました。

 

コーヒー、緑茶摂取と悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の罹患に明確な関連はなし

本研究の結果からは、男女ともコーヒー・緑茶摂取と悪性リンパ腫・多発性骨髄腫の罹患との間に明らかな関連は認められませんでした(図1、2)。
海外の疫学研究を複数まとめたメタアナリシスでは、コーヒー摂取が悪性リンパ腫のリスクと関連しているという十分なエビデンスはない、と報告されており、今回の研究結果と一致しています。また、これまでコーヒー摂取と多発性骨髄腫のリスクが関連しているという報告もなく、この点も今回の研究結果と一致しています。緑茶については、日本の別のコホート研究から、緑茶の摂取により悪性リンパ腫や多発性骨髄腫を含むリンパ系腫瘍のリスクが低下するとの報告がある他、中国で行われた症例対照研究でも緑茶摂取と多発性骨髄腫のリスク低下の報告がありますが、研究数は多くありません。過去の研究では症例数が少ない、病気になった後に生活習慣のアンケートを行った、などの理由から、今回の研究結果とは異なった結果であった可能性があります。コーヒー・緑茶摂取と悪性リンパ腫・多発性骨髄腫罹患の関連については、まだ国内外からの研究も少なく、今後さらなる研究結果の蓄積が必要です。

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