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国際共同プロジェクトへの参加

アジア人における肉摂取と循環器死亡との関連

―アジア人約29万人の国際統合解析―


アジアのコホートを対象とした肉摂取と循環器死亡の関係の検証

 

がんの一次予防に資する分析疫学研究の大部分は欧米先進諸国から発せられており、それらの知見が日本以外の東アジア諸国のがん予防にどの程度有効かは、必ずしも明らかにされてはいません。そこで、東アジア諸国に特有なリスク特性を示す要因とがんをはじめとする生活習慣病との関連について、既存大規模コホートのメタ分析などの手法を用いて量的評価を行っています。
この度、多目的コホート研究が参加した国際疫学研究プロジェクトの成果が専門誌に発表されました(Am J Clin Nutr 2013年 98巻 1032-41ページ)。このプロジェクトでは、バングラデシュ、中国、日本、韓国、台湾の8集団(計296,721人)を対象にして、肉摂取と循環器死亡の関連を調べる横断研究が行われました。

 


研究方法の概要

 

この研究は、アジアコホート連合(ACC)の枠組みを利用して情報収集を進めました。本研究への包含条件として、食物摂取頻度調査票(FFQ)に回答していること、追跡期間の情報があることを基準として定め、さらに死因が死亡登録あるいはフォローアップによって連結されている集団に限定しました。


肉類摂取は赤肉、鶏肉、魚に分類し、さらに各食品群摂取を一日当たりの摂取量に換算した上でコホート別及び性別で四分位にカテゴリ-分けをし、鶏肉については3分位に分類しました。各区分の全死因死亡率、がん死亡率及び循環器死亡率の相対リスク(ハザード比)とその95%信頼区間が計算されました。

 

コホート数 対象者数
台湾 1 3,472
日本 4 193,320
韓国 1 13,600
中国 1 74,933
バングラデシュ 1 11,396
合計 8 296,721

 

肉類摂取と死亡との関連

 

下図は肉類摂取カテゴリー別、性別の循環器死亡率相対リスクをグラフにしたものです。

アジア人における肉摂取と循環器死亡との関連図


研究では、合計24,283人の全死因死亡、9,558人のがん死亡及び6,373人の循環器死亡が報告されました。全肉摂取と全死因死亡、がん、循環器死亡との関連は男女ともに認められませんでした。一方、赤肉摂取により男女ともに全死因死亡のリスクが低下することが分かりました。さらに赤肉摂取は男性の循環器死亡、女性のがん死亡低下とも関連することが分かりました。男女両方において鶏肉摂取と全死因死亡のリスク低下、女性におけるがん死亡のリスク低下もみられました。また女性において、魚介類摂取により全死因死亡と循環器死亡のリスクが低くなりました。


近年アジア諸国ではがんと循環器死亡が増加し、幾つかのがんによる死亡率は西欧諸国に近づきつつあります。アジアでの肉類摂取増加傾向を踏まえ、動物性脂肪の多い西欧型食生活ががんや循環器死亡増加の原因ではないかと議論されてきました。しかし、今回のアジアのコホートを対象にした研究によると、肉類摂取と死亡率増加との関連は見られませんでした。今回の研究の結果、アジア人集団では関連が見られない理由として1)ほかの社会経済要因、ライフスタイルの変化や肥満が大きく関係している可能性があること、2)食生活の変化がアジアの多くの地域では進行中であること、3)アジアでは肥満、高血圧、喫煙など他の危険因子ががんや循環器死亡増加の主要リスクであること、等が考えられます。今後、これらの食物摂取以外の生活習慣や環境要因を考慮した研究が必要であるといえます。

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