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国際共同プロジェクトへの参加

乳がんリスクと関連する染色体上16q12.1の機能的遺伝子変異の同定

アジア人女性を対象にした乳がんに関連する遺伝子の調査

私たちの参加している国際共同プロジェクト「アジア乳がん連合」から専門誌に発表された成果です(PLoS Genet. 2010年6月24;6(6):e1001002.)。

乳がんの中には、ひとつの遺伝子の変異が乳がんの発生に強く影響する遺伝性乳がんがありますが、その割合は小さく、多くの乳がんは環境要因と遺伝要因が複雑に影響し合いながら発生すると考えられています。この研究では一般の乳がんと関連した遺伝子をみつけるため、全ゲノム関連解析(GWAS, Genome-Wide Association Study)と呼ばれる手法を用い、主としてアジア(中国、日本、その他)における乳がん患者と健康な女性との合計28,000人分について一塩基多型(SNP)の頻度を比較しました。複数の段階にわたって、乳がんとの関連の疑われるSNPを絞り込んで行ったところ、染色体上16q12.1のrs4784227と呼ばれるSNPが特定されました。この研究の対象者のうちアジア人全員のデータで解析したところ調整済みオッズ比はアリル(対立遺伝子)あたり1.25 (95%信頼区間1.20 – 1.31)でした。また基礎実験においてこのSNPの機能的な意義を示唆する結果が得られたことから、このSNPは乳がんの原因となる変異の可能性が考えられます。

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