日本人におけるがんの原因の寄与度推計(JAPAN PAF プロジェクト)
日本人におけるB型・C型肝炎ウイルス感染の保有率推計
日本人におけるB型肝炎ウイルス表面抗原 (HBsAg) およびC型肝炎ウイルス抗体の、
性別および出生年別の保有率に対するメタ回帰分析
B型あるいはC型肝炎ウイルスの保有者数を把握することは肝炎対策のために非常に重要である。ウイルスの保有者数は幼少期の衛生状態や肝炎の予防政策の影響を受けることから、幅広い出生年を対象とした調査が必要です。本研究では、日本における性別および出生年別のB型・C型肝炎ウイルス感染の保有率を推定しました。(J Epidemiol. 2020 Sep 5;30(9):420-425)
方法
B型およびC型肝炎ウイルス感染は、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)およびC型肝炎ウイルス抗体(抗HCV)検査によって同定しました。日本人の3つの大規模な集団(1995-2000年の間に初めて献血した者(約350万人)、2002-2006年の間に定期健康診断を受診した者(約620万人)、および、2014年に健康診断(人間ドック)を受診した者(HBsAg: 約115万人、抗HCV: 約74万人))を対象として、メタ回帰分析の統計手法によりHbsAgおよび抗HCV保有率の統合値を算出しました。
結果の概要
出生年別のHBsAgおよび抗HCVの保有率は、3つの集団とも似たような傾向を示していました。出生年別のHBsAg保有率は、1941–1950年生まれの集団で最も高い値でした。一方、抗HCVの保有率は、出生年が後になるほど減少する傾向が見られました。
本研究から得られたHBsAgおよび抗HCVの保有率は、肝炎ウイルス対策を考える上で重要な基礎データとなります。