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アジアコホート連合

アジアコホート連合(Asia Cohort Consortium: ACC)は、遺伝的要因や環境的要因がどのように病気と関連しているのかを把握しようとする国際共同研究です。アジア各国の健康な住民を対象とする合計で100万人規模のコホート研究データを利用し、その長期追跡調査を通じて、がんをはじめ、さまざまな疾患についての分析を行います。これにより、アジアで浮上している健康課題とその要因について、信頼性の高い科学的エビデンスを提供できるよう取り組んでいます。

背景

この数十年間で、アジア地域の経済や人口構成、ライフスタイルが大きく様変わりし、そこに暮らす住民の健康状態にはっきりとした変化が見られました。特に、がんを含む生活習慣病が増加し続け、医療システムや公衆衛生上の新たな問題が投げかけられています。幸いなことに、アジアにはこれらの問題を解決するための貴重な専門知識や研究材料があります。ACCは、その強みを生かし、アジア地域における病気による負担を軽減するために取り組んでまいります。

ACCは、新しいコホート研究(アジアの健康な住民100万人以上でコホートを構成)の設立や既存のコホート研究の活用を通じて遺伝的、環境的要因と病気との関連を探求する研究者が集う国際的な連合です。2004年11月に、韓国ソウルで、米国フレッド・ハッチンソンがん研究センター(FHCRC)のJohn Potter博士と韓国ソウル大学のDaehee Kang博士の呼びかけによって設立されました。

現在、国立がん研究センターのACCコーディネーティングセンターが、ACCの使命を果たすべく行われるさまざまな研究活動を円滑に進めるための運営事務局となっています。ACCの使命とは、(1)各国の既存のコホートの連携プロジェクトとその統合解析のプラットフォームになること、(2)新しいコホートを立ち上げることの2点です。

グローバルな連携

バングラデシュ、中国、インド、日本、韓国、マレーシア、シンガポール、台湾、イラン、モンゴル、米国その他の国々から研究者が集まり、継続中のコホート研究の進捗を報告し、共通の研究計画方針策定に関する討議を行い、連携プロジェクトに従事するために定例会を開催しています。ACC参加国の各地でこれまでに合計33回会議が開催されました。

 YearDateCityCountryMeeting
1 2004NovemberSeoulKoreaACC General Membership Meeting 2004
2 2005AprilSeattle WAUSAACC Spring General Membership Meeting 2005
3 2005SeptemberSeoulKoreaACC Fall General Membership Meeting 2005
4 2006AprilWashington DCUSAACC Spring General Membership Meeting 2006
5 2006SeptemberSingaporeSingaporeACC Fall General Membership Meeting 2006
6 2007AprilLos Angeles CAUSAACC Spring General Membership Meeting 2007
7 2007OctoberKuala LumpurMalaysiaACC Fall General Membership Meeting 2007
8 2008AprilSan Diego, CAUSAACC Spring General Membership Meeting 2008
9 2008Oct.9-10BeijingChinaACC Fall General Membership Meeting 2008
10 2009April.17-18Denver, COUSAACC Spring General Membership Meeting 2009
11 2009Dec.3-4TokyoJapanACC Fall General Membership Meeting 2009
12 2010April.14-15Washington DCUSAACC Spring General Membership Meeting 2010
13 2010Oct.4-5SeoulKoreaACC Fall General Membership Meeting 2010
14 2011Nov.4Orlando FLUSAACC Spring General Membership Meeting 2011
15 2011Dec.10-11DhakaBangladeshACC Fall General Membership Meeting 2011
16 2012Oct.19-20TaipeiTaiwanACC General Membership Meeting 2012
17 2013AprilBethesda, MDUSAACC Spring General Membership Meeting 2013
18 2013Nov.11-12TokyoJapanACC Fall General Membership Meeting 2013
19 2014May.28ShanghaiChinaACC General Membership Meeting 2014
20 2015March.19-20SeoulKoreaACC Spring General Membership Meeting 2015
21 2015Nov.9-10TokyoJapanACC Fall General Membership Meeting 2015
22 2016Apr.19New OrleansUSAACC Working Group Meeting 2016
23 2016Sep.28SingaporeSingaporeACC General Membership Meeting 2016
24 2017Apr.1Washington DCUSAACC Working Group Meeting 2017
25 2017Aug.18TokyoJapanACC General Membership Meeting 2017
26 2018Apr.15Chicago ILUSAACC Working Group Meeting 2018 (Chicago)
27 2018Apr.18JejuKoreaACC Working Group Meeting 2018 (Jeju)
28 2018Sep.4-5NagoyaJapanACC General Membership Meeting 2018
29 2019Mar.31AtlantaUSAACC Working Group Meeting 2019
30 2019Nov.4-6HanoiVietnamACC General Membership Meeting 2019
31 2020Feb.20KyotoJapanACC Working Group Meeting 2020 (Kyoto)
32 2020Apr.28Online ACC Working Group Meeting 2020 (Zoom)
33 2020Oct.30Online ACC General Membership Meeting 2020

新たなコホート

ACCでは、これまで韓国、マレーシア、シンガポールで新たなコホートを立ち上げてまいりました。これらの国では積極的に参加者を募集し、より進んだ段階でデータをプール(足し合わせ)して解析しやすいように、共通の方法による収集が進められています。アジアの他の国でも新しいコホートを計画中です。

新たな展開

現在ACCには43のコホートが参加しています。それらのコホートの研究代表者でもあるACCメンバーが主導してこれまでに50以上の研究プロジェクトが実施され、現在も30以上のプロジェクトが進行中です。既に解析を終え論文化されたたプロジェクトについてはACCのウェブサイトでご確認いただけます。これらのプロジェクトには、日本、中国、韓国、インド、イラン、台湾、バングラデシュ、シンガポールの25のコホート研究のデータが含まれています。100万人以上のデータを擁するこれらのプロジェクトから、アジア全域におけるがんや主要疾病のパターンに関する貴重な情報が得られるとともに、ACCにおける様々な統合解析が実現されることになります。

ACCとの連携について

ACCでは、その使命を遂行するために、同じゴールを目指す研究者との連携を歓迎します。新しいコホート研究の立ち上げに関心のあるアジアや他の地域の研究者は、ACCコーディネーティングセンターまでお問い合わせください。また、既存のコホート研究を用いた横断的研究への参加やプロジェクトの提案に関心をお持ちの研究者も、詳細についてコーディネーティングセンターへお問い合わせください。私たちは、共同研究を通じて、医学研究を進展させ疾患予防を促進する研究者のコミュニティを助成したいと、心から願っています。

アジアコホート連合の現在までの業績など、詳しくはアジアコホート連合のホームページをごらんください。
http://www.asiacohort.org/

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