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年報

平成6-7年度

臨床疫学研究部では、ヒト集団を対象に疫学・生物統計学の手法を用いて、

  1. がん発症要因としての食事・栄養素との関連、
  2. がん発症における環境要因と遺伝的感受性との関連、
  3. がんの化学予防、
  4. がんの臨床・基礎研究における生物統計学の応用などに関する研究

を継続して行ってきた。


平成6年10月に発足して以来、10万人規模の地域住民を対象とした長期追跡調査による食事・栄養素摂取との関連を検証するコホート研究、ブラジル在住の日系移民などを対象に遺伝子指標を取り入れた症例対照研究、胃がん死亡率が高い地域における慢性萎縮性胃炎保有者の胃がん発症を抗酸化微量栄養素投与で予防可能か否かを検証するための無作為比較試験、がん治療の臨床試験を適正かつ科学的に行うための統計センター・システムの開発研究などを行ってきた。

具体的な成果としては、食品や栄養素摂取を半定量的に把握可能な調査票を開発し、コホート対象者約5万人に対する栄養計算を行った。同時に、その調査票の妥当性を評価するために、 250名を対象に年4回の7日間食事記録調査を行い、そこからの栄養素摂取量との比較を行った。

ブラジルでの肺がんの症例対照研究では、チトクロームP450 IA1のIle-Val多型が、喫煙と相互作用を持ちながら発症リスクと関連していることを明らかにした。

また、胃がん死亡率が高い地域において、慢性萎縮性胃炎保有者の胃がん発症を、栄養素の補給で予防可能か否かを検証するための無作為比較試験をパイロット研究で実施可能性を確認した後に開始した。

さらに、がん臨床試験を適正かつ科学的に実施するための統計センターのシステム開発を行いながら、実際の臨床試験において統計センターの役割を果し、これまでに約1万例の患者データ・ベースを構築した。そして、臨床・基礎研究のプロトコール作成やデータ解析の面で、数多くの研究に対する生物統計学的支援を行った。

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