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年報

平成14年度

多目的コホートによるがん・循環器疾患の疫学研究

全国11保健所管内14万人の地域住民を対象に、生活習慣とがんなど疾病発生との関連を検討する目的で、長期追跡調査 (1990年開始) を行っている。平成14年度は、対象者の追跡調査(累積で8,000名の死亡、7,700例のがん罹患)を継続しつつ、ベースライン時点のアンケート調査で得られた生活習慣情報と、その後の死亡・がん罹患との関連を検討した。喫煙が分化型胃がんのリスクを高める一方、野菜がそのリスクを低めるなどのエビデンスを示すと共に、本研究で用いた食物摂取頻度調査によりヘテロサイクリック・アミンの摂取量を推定した。

胃がん高危険度群に対する有効な予防方法の開発研究

胃がん死亡率の高い地域に居住する住民を対象に、胃がんの効果的な予防方法を開発する目的で、2つの無作為化比較試験(ビタミンC投与による胃粘膜萎縮改善効果の評価、食事関連危険因子の軽減を目指した効果的な食事指導システムの開発・評価)を行っている。平成14年度は、5年間のビタミンC投与により、血中ビタミンC濃度が有意に増加する一方、加齢に伴う血圧の上昇は抑制されないことを示した。

ブラジル日系移民を対象としたがんの疫学研究

サンパウロ在住の日系移民を対象に、移住による環境・生活習慣の変化が、がんの発生に及ぼす影響を検討するため様々な疫学研究を行っている。平成14年度は、日系人および非日系人を対象とした乳がんの症例対照研究を継続すると共に、データ収集を終えている胃がんの症例対照研究において、二人種間でのリスク要因の共通性と異質性を明らかにした。

内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する疫学研究

日常の生活環境における内分泌かく乱化学物質の曝露が、男女生殖器系疾病などに関連するか否かを疫学的に検討するために、職業暴露集団における断面研究や子宮内膜症および乳がんの症例対照研究などを実施している。平成14年度は、エポキシ樹脂取り扱い作業者の尿中ビスフェノールAが高値であり、血清の卵胞刺激ホルモンが低い事などを明らかにした。

その他の疫学研究

栄養疫学研究、分子疫学研究を実施するための基礎的研究を実施すると共に、東病院を中心に、乳がんなどの臨床疫学研究に参加しその成果に貢献した。

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