内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する研究
はじめに
内分泌かく乱化学物質(以下、EDC)の人への健康影響を評価する場合、動物やヒト細胞などを用いた実験室での研究に基づき、人への健康影響を推察する方法が主として用いられている。しかしながら、実際に人間社会に存在している量のEDCが、人に対して何らかの健康影響を及ぼしているか否かを知るためには、人間集団を対象として、EDC暴露と健康影響との関連を検討する疫学研究からの証拠が重要である。本報告においては、EDC暴露による健康影響として、その可能性が懸念されている、発がん、甲状腺機能、器官形成、小児神経発達、生殖機能などへの影響について、疫学研究に基づいた刊行論文についてレビューする事により、現状のEDCの人への健康影響に関する問題の整理を行うと共に、今後の研究の方向性についての提言を試みた。