科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究
エビデンスの評価
最終更新日:2023年8月25日
* 評価の変更履歴 *
- 2023.08.21(2023年8月班会議、web・東京)新たに、飲酒と頭頸部がんを「確実↑」と評価した。
- 2022.03.25(2022年3月班会議、web) 新たに、高身長と大腸がんおよび結腸がんを「データ不十分」から「ほぼ確実↑」、飲酒と男性の胃がんを「データ不十分」から「ほぼ確実↑」、飲酒と閉経前女性の乳がんを「可能性あり↑」から「ほぼ確実↑」、授乳と乳がん「可能性あり↓」で変更なし、ホルモン剤使用と閉経前女性の乳がんを「データ不十分」から「可能性あり↑」と評価した。
- 2020.11.30(2020年11月班会議、web) 新たに、喫煙と大腸がんを「可能性あり」から「確実↑」、肥満と男性の膵がんを「データ不十分」から「可能性あり↑」、コーヒーと女性の結腸がんを「データ不十分」から「可能性あり↓」、HPVワクチンと子宮頸がんを「確実↓」、ピロリ菌除菌治療と胃がんを「確実↓」、HCV肝炎治療と肝がんを「確実↓」と評価した。
- 2017.11.24(2017年11月班会議、東京)新たに、肥満と肝がんを「ほぼ確実↑」から「確実↑」、飲酒と乳がんを「データ不十分」から「可能性あり↑」、身長と乳がんを「データ不十分」、身長と前立腺がんを「データ不十分」と評価。
- 2017.08.01(2017年7月班会議、東京)新たに、飲酒と膀胱がんを「データ不十分 」と評価。新たに喫煙と急性骨髄性白血病を「ほぼ確実↑」と評価。
- 2016.08.31(2016年7月班会議、東京)エビデンスの追加とサマリーテーブルの見直しにより、受動喫煙と肺がんを「ほぼ確実↑」から「確実↑」に、受動喫煙と乳がんを「データ不十分」から「可能性あり↑」に変更。新たに受動喫煙と頭頚部がんを「データ不十分 」と評価。新たに受動喫煙と膀胱がんを「データ不十分 」と評価。
- 2015.08.19(2015年7月班会議、東京)エビデンスの追加とサマリーテーブルの見直しにより、喫煙と肝がんを「ほぼ確実↑」から「確実↑」に、コーヒーと大腸がん(大腸がんと結腸がんの「可能性あり↓」)を「データ不十分」に変更【直腸がんは「データ不十分で」変更なし】。新たに喫煙と膀胱がんを「確実」、喫煙と頭頚部がんを「確実」と評価。
- 2015.01.08(2014年12月班会議、東京)エビデンスの追加とサマリーテーブルの見直しにより、肥満と閉経前女性の乳がんの評価を「可能性あり(BMI 30以上)」に変更。
- 2014.08.01(2014班年7月会議、東京)エビデンスの追加とサマリーテーブルの見直しにより、食物繊維と大腸がんの評価を「データ不十分」から「可能性あり↓」に変更。
- 2014.06.20(2013班会議、東京)エビデンスの追加とサマリーテーブルの見直しにより、糖尿病マーカーと全がん・大腸がんの評価を「データ不十分」から「可能性あり↑」に変更。赤肉と大腸がんを「可能性あり↑」と評価。コーヒーと子宮体がんを「可能性あり↓」、子宮頸がんと卵巣がんを「データ不十分」と評価。受動喫煙、服薬歴、食パターン、緑茶、葉酸、イソフラボン、ビタミン、カロテノイドと子宮がん・卵巣がん、服薬歴と肝がんを「データ不十分」と評価。
- 2012.12.25(班会議、東京)エビデンスの追加とサマリーテーブルの見直しにより、運動と乳がんの評価を、「データ不十分」から「可能性あり」に変更。
- 2012.01.20(班会議、東京)エビデンスの評価を追加・更新
- 2011.01.18(班会議、東京)エビデンスの評価を追加・更新
(班会議、東京)エビデンスの追加とサマリーテーブルの見直しにより、喫煙と膵がんの評価を、「ほぼ確実」から「確実」に変更。 - 2010.07.07(班会議、東京)エビデンスの評価を追加・更新
- 2009.07.24(班会議、東京)新しいプール分析の結果により、緑茶と胃がんの評価を男女別に分け、女性を「データ不十分」から「ほぼ確実」に変更。
(班会議、東京)エビデンスの追加とサマリーテーブルの見直しにより、BMIと肝がんの評価を、「データ不十分」から「ほぼ確実」に変更。 - 2008.12.08(班会議、東京)エビデンスの評価を追加・更新
- 2008.07.04(班会議、東京)新しいプール分析の結果により、飲酒と大腸がんの評価を、「ほぼ確実」から「確実」に変更。
(班会議、東京)エビデンスの追加とサマリーテーブルの見直しにより、果物と肺がんの評価を、「ほぼ確実」から「可能性あり」に変更。
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「これまでにおこなわれた評価の一覧」
(解説)
これまでに研究班が実施した評価では、喫煙、飲酒のリスクについては多くのがんで、また、BMIや感染については一部のがんで、その関連の確実性が示されま した。その一方、食事要因についてはほとんどの食品、栄養素において未だデータ不十分という評価が並び、塩、緑茶、コーヒーなどの一部で関連が示されたに とどまりました。
その理由として、日本人の食生活にばらつきが少ないことと、研究データのもとになる食事調査の難しさが挙げられます。つまり、和 食を中心としたバラエテイ豊かな日本人の食生活は健康上望ましく、多くの人がこのような食生活を送っているために、日本人を対象集団とした研究の設定で は、明確な効果としては見えにくいということもあるかもしれません。また、特に栄養素レベルを検出するような緻密な研究結果は、まだあまりありません。こ のような限界があるために、食品・栄養素については少し過小評価に偏っている可能性があります。
このような微妙な差の見極めを目指して、質の高い大規模長期追跡調査からのエビデンスの更なる蓄積、複数の研究結果をたし合わせたメタ解析、栄養素摂取量を精度良く測定できるバイオマーカーの探索などの研究が盛んに行われています。