科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究
2011/10/4 日本におけるがんの原因
「生活習慣改善によるがん予防法の開発に関する研究」、略して「がん予防研究班」では、皆様に向けて研究についてのニュースをメールで配信しています。
このたび、 「日本におけるがんの原因」を新たに公開しましたのでお知らせします。
これまでに日本で行われた疫学研究から、予防可能な特定のリスク要因によるがんの相対リスクと、そのリスク要因を持つ人がどれくらいいるのかという曝露保有率を推定するデータを収集しました。それをもとに、2005年に日本で発生した部位別のがんのPAF (population attributable fraction, 人口寄与割合)を推計しました。
この研究におけるPAFとは、もし特定のリスク要因への曝露がもし無かったとすると、疾病の発生(または疾病による死亡)が何パーセント減少することになったかを表わす数値です。
日本では男性のがんのおよそ55%(がん発生については53%、がん死については57%)は予防可能なリスク要因によるものでした。
一方、女性では予防可能な要因はがんの30%近く(がん発生とがん死でそれぞれ28%と30%)を占めました。
男女総合で見ると、まず喫煙と、C型肝炎ウイルスとピロリ菌などの感染性因子がそれぞれ20%前後を占め、日本ではずば抜けて大きいリスク要因であり、その次に飲酒が続きました。
これまで、がんの原因について、何がどれくらいを占めるのかという場合には、欧米での同様の研究結果が参考にされていました。この研究により、日本人のデータをもとに、より的確に割合を示すことができました。
この研究成果は、2011年10月3日に第70回日本がん学会学術総会で「既知の要因に起因するがんの割合―疫学研究に基づく集団への影響」として発表されました(Annals Of Oncology 23, 2011 in press)。
詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。