トップ >科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 >現在までの成果 >アジアにおける今後の喫煙関連死亡の動向

科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

アジアにおける今後の喫煙関連死亡の動向

アジアのコホート研究のプール解析

アジアにおける今後の喫煙関連死亡の動向

Yang JJ et al.2019 JAMA Network Open

 

アジアにおける今後の喫煙による死亡の大きさを予測するためには、出生年代別の喫煙パターンと死亡全体及び死因別死亡との関連を理解することが重要です。本研究では、アジア人における喫煙関連死亡の動向を国・地域別および出生年代別に分析しました。アジアコホート連合の20の前向きコホート研究を統合した35歳以上のアジア人計1,002,258名(中国、日本、韓国、シンガポール、台湾、インドの国・地域、研究開始時の平均年齢54.6歳)を対象として、喫煙状況、喫煙開始年齢、1日あたりの喫煙本数、禁煙開始年齢などの喫煙関連指標と死亡全体及び喫煙関連疾患の代表である肺がん死亡との関連を国・地域別および出生年代別に検討しました。

 

平均追跡期間11.7年で144,366名の死亡(うち9158名が肺がん死亡)が確認された。男性の喫煙率は、中国およびインドでは一貫して増加していましたが、日本、韓国、シンガポールおよび台湾では横ばいでした。男性喫煙者では、喫煙開始年齢は出生年が遅くなるにつれ早くなる傾向が見られる一方で、1日あたりの平均喫煙本数は増加していました。これらの変化に伴って、現在の喫煙状況に関連する死亡全体のリスクは、出生年代が遅くなるほど増加し、1920年以前の出生グループで1.26倍、1920年代の出生グループで1.47倍、1930年以降出生グループで1.70倍となっていました。 さらに、肺がん死亡については、1920年以前の出生グループで3.38倍、1920年代の出生グループで4.74倍、1930年以降の出生グループで4.80倍となっていました(図)。

48_1

 

死亡全体のうち喫煙に起因する死亡、すなわち喫煙していなかったら防ぐことのできた死亡の割合は、1920年以前の出生グループで12.5%、1920年代の出生グループで21.1%、1930年以降の出生グループで29.3%でした。同様に、肺がん死亡のうちの喫煙に起因する死亡の割合は、1920年以前の出生グループで56.6%、1920年代の出生グループで66.6%、1930年以降の出生グループで68.4%でした。女性については、喫煙と肺がん死亡のパターンが国・地域ごとに大きく異なっていました。

 

本研究から、喫煙関連死亡は比較的若い出生世代のアジア人男性において増加し続けていることから、喫煙は、ほとんどのアジア諸国において、今後数十年にわたって大きな公衆衛生問題であり続けると予想されます。アジアにおける喫煙の蔓延を食い止めるため、包括的な喫煙対策が必要と考えられます。

上に戻る