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科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

アジア人における糖尿病と死亡との関連

アジアのコホート研究のプール解析

アジア人における糖尿病と死亡との関連

Yang JJ et al.2019 JAMA Network Open

 

アジアは世界で最大の糖尿病集団をかかえる地域です。しかし、アジア人における糖尿病と死亡との関連性を検討した研究は多くありません。本研究では、アジア人において糖尿病が死亡リスクと関連しているかどうか、また、その関連は年齢、性別、教育歴、体型(BMI)、喫煙状況によって異なるかどうかについて検討しました。アジアコホート連合の22の前向きコホート研究、合計1,002,551名(中国、日本、韓国、シンガポール、台湾、インド、バングラデシュの各国)を用いて、死亡全体および主要死因による死亡リスクを調べました。

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参加者1,002,551名(年齢中央値54歳)のうち、約13年の追跡期間で148,868名の死亡が確認されました。研究開始時の糖尿病既往のある人は男性で4.8%、女性で3.6%でした。糖尿病既往者ではそうでない人と比較して、死亡全体のリスクが1.89倍高く、男性(1.74倍)よりも女性(2.09倍)で、70歳以上(1.51倍)よりも30~49歳(2.43倍)でより顕著でした。死因別では糖尿病死亡で22.8倍、腎疾患死亡で3.08倍、冠動脈心疾患死亡で2.57倍、虚血性脳卒中死亡で2.15倍リスクが高くなりました。

 

糖尿病既往と死因別死亡との間にも同様の関連が見られました。本研究により、アジア人では、糖尿病既往は様々な疾患の死亡リスクと関連していることが明らかになりました。アジアにおける糖尿病による負荷を軽減するためには糖尿病の管理プログラムの開発と実施が急務です。

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