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科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

アジア人における教育歴と死亡との関連

アジアのコホート研究のプール解析

アジア人における教育歴と死亡との関連

K Yang et al 2019 BMJ Open

 

社会経済的地位は死亡や病気の罹患、障害の点で個人の健康状態に大きな影響を及ぼすことが明らかになってきています。収入、職業、医療へのアクセス、生活習慣などと密接に関連する教育歴は、社会経済的地位の主要な決定要因として、死亡リスクと負の関連があるのではないかと考えられています。 この研究では、アジアコホート連合の15のコホート研究集団を用いて、アジア人における教育歴と死亡全体・循環器疾患死亡・がん死亡のリスクとの関連性について調べました。

 

合計694,434名(研究開始時の平均年齢53.2歳)を平均12.5年間追跡した結果、103,023名の死亡が確認されました。このうち、33,939名ががんによる死亡、34,645名が循環器疾患による死亡でした。教育歴の低いグループ(初等教育以下)と比較して、教育歴の高いグループでは、死亡全体のリスクが中等教育で12%、職業・技術教育で19%、大学教育以上で29%低くなりました。循環器疾患及びがん死亡についても教育歴が高くなるにしたがって同様のリスク低下が認められ、循環器疾患死亡でそれぞれ12%、23%、33%、がん死亡でそれぞれ7%、14%、19%低下していました。(図)

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東アジア人および南アジア人における関連のパターンは類似していました。大学教育以上のグループでは全死亡リスクが、東アジア人(中国人、日本人、韓国人)で28%、南アジア人(インド人、バングラデシュ人)で39%低くなっていました。これらの結果から、アジア人では、教育歴が高くなるほど、死亡リスクが低くなることがわかりました。

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