科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究
日本人におけるコーヒー摂取と全死亡および疾患別死亡リスク
日本のコホート研究のプール解析
日本人におけるコーヒー摂取と全死亡および疾患別死亡リスク
コーヒー摂取は世界的に増加傾向にあり、日本においても50%以上の人がコーヒー摂取の習慣があるとされています。これまでに行われた研究で、コ―ヒー摂取によってがん、心疾患、呼吸器疾患などを予防することが示唆されていますが、確かな結論には至っていません。そこで、コーヒー摂取による日本人の死亡全体および死因別死亡リスクへの影響について、日本の8つのコホート研究(JCC; Japan cohort consortium)の結果を統合し、まとめて結果を提示する「プール解析」という手法を用いて研究を行いました。(Prev Med, 123, 270-277)
日本の8つのコホート研究(JPHC-IとJPHC-IIの多目的コホート研究、JACC研究、宮城県コホート研究、大崎国保コホート研究、三府県宮城コホート研究、三府県愛知コホート研究、三府県大阪コホート研究)における男性14万4,750人、女性16万8,631人が解析の対象となりました。17年間の平均追跡期間中に5万2,943人が死亡し、うち、がん1万9,495人、心疾患7,321人、脳血管疾患6,387人、呼吸器疾患3,490人、事故・傷害3,382人という内訳となっていました。
1日5杯未満のコーヒー摂取で死亡リスクが減少
男女共に、コーヒー5杯/日未満の摂取によって死亡全体のリスクが有意に低下していましたが、コーヒー摂取量が5杯/日以上ではその関連が弱くなっていました。また、がん以外のその他の死因においても同様に負の関連が認められました。一方、女性では、1~2杯/日のカテゴリーにおいて、コーヒー摂取により心疾患による死亡リスクが低下していましたが、5杯/日以上の摂取ではリスクが増加していました。男女共に、コーヒー摂取とがん死亡リスクとの間には関連が認められませんでした。
日本人男女を対象とした本研究の結果から、一日5杯以下のコーヒー摂取であれば、日本人の主要な死因による死亡リスクの低下につながるのかもれません。