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科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

アジア人における少量喫煙および喫煙開始の遅い喫煙者における全死亡と主要死因別死亡との関連

アジアのコホート研究のプール解析

アジア人における少量喫煙および喫煙開始の遅い喫煙者における全死亡と主要死因別死亡との関連

Yang et al 2020 Tabacco Control

 

欧米人に比べて、喫煙本数が少なく喫煙開始が遅いアジア人における少量喫煙の健康影響についてはほとんど分かっていません。

このプール解析では、16の前向きコホート研究の合計738,013名を対象として、アジア人の少量喫煙(1日あたりの喫煙本数5本未満)および遅い喫煙開始年齢(35歳以上)との死亡との関連を分析しました。研究ごとに算出した死亡リスク(ハザード比)を、ランダム効果メタアナリシスという方法を用いて統計的に統合し、すべての研究を合わせた死亡リスクを推計しました。平均追跡期間11.3年の間に、92,068名の死亡が確認されました。非喫煙者と比較して、1日あたりの喫煙本数が5本未満または35歳以降に喫煙を開始した現在喫煙者では、全死因、心血管疾患および呼吸器疾患による死亡のリスクが16%~41%高くなり、肺がん死亡のリスクが2倍以上高くなりました(図1)。さらに、35歳以降に喫煙を開始し、かつ1日あたりの喫煙本数が5本未満であった現在喫煙者では、全死因で14%、心血管疾患で27%、呼吸器疾患で54%と死亡リスクが高くなりました(図2)。一方、1日あたりの喫煙本数が5本未満で45歳以前に禁煙した過去喫煙者でも全死亡リスクは16%高くなっていましたが、禁煙期間が長くなるにつれてリスクは低くなる傾向がみられました。

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この研究から、少量喫煙者や、喫煙開始年齢が遅い喫煙者でも、全死亡と主要死因別死亡のリスクが高くなることがわかりましたが、一方で、禁煙によってその影響を軽減したことも示されました。安全な喫煙方法はなく、禁煙することが最良の選択であると考えられます。

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