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科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

日本人における喫煙と大腸がん(結腸・直腸がん)のリスク

日本のコホート研究のプール解析

日本人における喫煙と大腸がん(結腸・直腸がん)のリスク

Akter S et al 2020 (Int J Cancer)

 

欧米の集団では喫煙と大腸がん(結腸・直腸がん)のリスクとの関連が報告されており、2014年の米国の公衆衛生総監報告書(A Report of the Surgeon General)に大腸がんがたばこ関連がんとして追加されました。しかし、アジア人におけるエビデンスが不十分であり、結論は一貫していません。そこで、日本人における喫煙状況・喫煙本数・禁煙と大腸がん罹患リスクとの関連を評価するため、10の前向きコホート研究のプール解析を行いました。
10の日本のコホート研究(多目的コホート研究コホートI群とコホートII群、JACC研究、宮城県コホート研究、三府県宮城コホート研究、大崎国保コホート研究、三府県愛知コホート研究、3府県大阪コホート研究、放影研寿命調査、高山コホート研究)のうち、363,409人の研究参加者(男性47.3%)を追跡し、そのうち9,232人(男性が60.5%)に大腸がんが確認されました。追跡期間は1992年12月31日から2014年12月31日で、平均追跡期間は7.6年から20.6年でした。
非喫煙者と比較したところ、男性において喫煙経験者における大腸がんの罹患リスクは1.19倍、結腸がんは1.19倍、下行結腸がんは1.28倍、直腸がんは1.21倍と高くなりました。女性では、非喫煙者と比較して、喫煙経験者の下行結腸がん罹患リスクは1.47倍でした。(図1)

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男性では、累積喫煙指数(1日喫煙箱数×喫煙年数)や喫煙本数、喫煙期間が多くなるほど大腸がんの罹患リスクが高くなる量反応関係が見られました。(図2)

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女性では、喫煙本数の多い喫煙経験者が大腸がんのリスクが高く、非喫煙者と比べると、累積喫煙指数が40以上の喫煙者で1.60倍、1日あたり喫煙本数が20本以上の現在喫煙者で1.37倍でした。結腸がん、直腸がんに分けてみても同様の結果でした。(図3)

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この研究結果から、日本人男性において、喫煙量が多くなればなるほど大腸がん全体や、結腸がん、直腸がん、下行結腸がんの罹患リスクが高くなることが示されました。日本人女性においては、1日あたり喫煙本数が20本以上の現在喫煙者と累積喫煙指数が40以上の喫煙者において大腸がん全体と結腸がん、直腸がんのリスクが高くなっていました。これらの結果により、日本人における喫煙と大腸がんの関連性の根拠が強固なものとなりました。

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