科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究
コーヒーとお茶の摂取と死亡全体及び心血管障害死亡、がん死亡リスクとの関連
アジアコホートコンソーシアムにおける前向き研究のプール解析
コーヒーとお茶の摂取と死亡全体及び心血管障害死亡、がん死亡リスクとの関連
これまでの研究から、コーヒーの摂取は早死(寿命前の死亡)リスクを低下させる可能性が示されています。一方、お茶摂取と早死リスクとの関連を検討したアジア人の研究は限られています。そこでアジア人を対象として、コーヒー摂取及びお茶摂取と早死との関連について検討しました。
中国、日本、韓国、シンガポールの12の前向きコホート研究の対象者合計248,050名の男性と280,454名の女性のデータを基に、コーヒー、緑茶、紅茶の摂取と死亡との関連について解析を行いました。
追跡期間中に合計94,744名が死亡しました。コーヒーを飲まない群と比較して1日5杯以上のコーヒーを摂取する群では、男女それぞれで死亡全体のリスクが24%及び28%低くなりました。またコーヒー摂取と心血管障害死亡とがん死亡リスクに負の関連がみられました。緑茶摂取とがん死亡とは関連がみられませんでしたが、死亡全体、心血管障害死亡、その他の死亡リスクに負の関連がみられました。緑茶を飲まない群と比較して1日5杯以上緑茶を摂取する群では、心血管障害死亡リスクが男性で0.79倍、女性で0.78倍となりました。紅茶摂取と早死との明確な関連はみられませんでした。
これらの結果から、アジア人では、コーヒー摂取は死亡全体及び、心血管障害死亡、がん死亡のリスクを低下させ、緑茶摂取は死亡全体と心血管障害死亡のリスクを低下させる可能性が示されました。