トップ >科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 >現在までの成果 >胃がん家族歴と胃がんとの関連

科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

胃がん家族歴と胃がんとの関連

アジアコホートコンソーシアムにおける12のコホート研究のプール解析

胃がんの6割以上は東アジアから発生しています。胃がんの家族歴は胃がんのリスク要因であることが示されていますが、コホート研究からのエビデンスが不足しています。本研究では、アジア人を対象とする12の前向きコホート研究(合計55万人)を統合して、胃がん家族歴と胃がん罹患及び死亡リスクとの関連を検討しました(Gastric Cancer. 2024 Apr 22. doi: 10.1007/s10120-024-01499-1)。

この研究では、研究開始時に研究対象者から自己申告による胃がん家族歴情報を収集しています。合計55万人の平均15.6年間の追跡期間中に、2258例が胃がんに罹患し5194人が胃がんで死亡しました。研究対象者のうち、8.9%は研究開始時に胃がん家族歴がありました。胃がん家族歴のある人は、胃がん家族歴のない人に比べ、胃がんの罹患リスクが1.44倍高く、男女別(男性、女性)、亜部位別(噴門部、非噴門部)、病理別(腸型、びまん型)にみても同様のリスク増加が見られました。胃がん死亡についても罹患と同様の関連がみられました。

本研究の主な限界として、胃がん家族歴が自己申告されたものであること、誤分類の可能性、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染状況に関するデータがないことがあげられます。また、胃がん家族歴や他の調整項目は研究開始時にのみ収集されており、胃がん家族歴の人数はわかりません。

上に戻る