トップ >科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 >現在までの成果 >女性関連要因と子宮体がんリスクとの関連性

科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

女性関連要因と子宮体がんリスクとの関連性

アジアコホートコンソーシアムにおける13のコホート研究のプール解析

子宮体がんは欧米よりアジアで少なく、分娩回数や初潮・閉経年齢などの女性関連要因と子宮体がんリスクとの関連についての研究は、主にアジア以外の国で実施されてきました。そのため、アジア人を対象とする13の前向きコホート研究を統合して、参加者約30万人を対象とする女性関連要因と子宮体がんの罹患との関連を調べました(JAMA Netw Open. 2023;6(9):e2332296)。

 

アジア人対象者約33万人、約16年間の追跡期間中に子宮体がんに罹患した人は1,005人でした。分娩回数の多いグループで子宮体がんのリスクが低下していました。分娩回数1~2回のグループと比較して、分娩回数5回以上のグループでは子宮体がんのリスクが0.6倍でした。また、子供を産んだことがないグループと比較した場合、分娩回数5回以上のグループでは子宮体がんのリスクが0.3倍でした。初経年齢が13歳未満のグループと比較して、初経年齢が17歳以上のグループでは子宮体がんのリスクは0.6倍でした。閉経年齢が45歳未満と比較して、閉経年齢が55歳以上のグループでは、子宮体がんのリスクは2.8倍でした。初産年齢、ホルモン補充療法、授乳については、子宮体がんリスクと統計学的に意味のある関連を認めませんでした。

 

図1 女性関連要因と子宮体がんリスクの関連

今回の結果は、これまで欧米から報告されている女性関連要因と子宮体がんのリスクとの関連と同じような結果でした。また、欧米と比べてやせている人が多いアジア人においても同じような結果であることが本研究で示されました。

今回の研究では、女性関連要因の質問方法がコホートごとに多少異なるため完全な定義の一致は難しい、組織型などがんの性状を含めた解析ができていないことなどの限界がありますが、アジアからの女性関連要因と子宮体がんとの関連を示す重要な結果の一つといえます。

上に戻る