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科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

アジア諸国における初経年齢の若年化

アジアの出生コホートの約50万人の女性を対象としたプール解析

初経年齢が早いことは、心血管疾患などのさまざまな健康アウトカムと関連しています。初経は遺伝的要因以外にも栄養、運動、BMI(体格指数)などの様々な要因の影響を受けることが知られており、近年、高所得国では初経年齢が若年化していることが報告されています。しかし、アジア圏においても同じような傾向にあるかどうかは明らかになっていません。そこで本研究では、日本、中国、イラン、韓国、マレーシア、シンガポールの6カ国の22件の前向きコホート研究を統合し、約50万人のアジア人女性を対象に、初経年齢の経年変化とその国ごとのばらつきを検討しました(Public Health. 2024 Dec:237:130-134.)。

 

初経の平均年齢は14.0歳(標準偏差1.4歳)で、12.6歳から15.5歳でした。初経年齢は6か国すべてで若年化の傾向が見られましたが、そのペースは国によって異なりました。日本、韓国、シンガポールでは、1980年代からほぼ直線的な若年化が観察された一方、中国では若年化傾向の中に部分的な高齢化の時期が観察されました。また、イランとマレーシアでは、1985年から1990年にかけての急激な若年化が観察されました。

この研究の限界として、社会経済的要因などの影響を考慮できていないことや、アジアの特定の地域のみを対象としている点が挙げられます。今後の研究では、社会経済的要因を含む多面的なデータを、より広範な地域を対象に収集し、分析する必要があると考えられます。

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