科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究
肥満指数(BMI)と大腸がんの罹患および死亡との関連
アジアコホート連合における62万人を対象としたプール解析
JAMA Network Open 2024 Aug 1;7(8):e2429494
大腸がんは、多くの国や地域で罹患率・死亡率が増加している主要ながんの一つであり、肥満その他の生活習慣がそのリスク因子であるとされています。今回、アジア人を対象とした17の前向きコホート研究を統合した61万人以上のデータを対象として、肥満度(BMI)と大腸がんの罹患および死亡との関連について検討しました。BMI(kg/m²)は23–24.9を基準とし、25.0–27.4、27.5–29.9、30.0以上のカテゴリーにおける大腸がんリスクを評価しました。
BMIが高くなるほど大腸がんの罹患リスクが高くなる傾向がみられました(図1)。
この傾向は、結腸がんでより顕著でした。死亡においては、男性でBMIが高いほど大腸がん死亡リスクが高くなる傾向がみられました。(図2)
今回の大規模アジア人集団を用いた研究により、欧米の先行研究と同様に、アジア諸国においても肥満が大腸がん罹患および死亡リスクを高める可能性が示唆されました。大腸がん予防において肥満対策が重要である一方で、性別や部位による違いの要因解明に向けた今後の研究が期待されます。
図1 BMIと大腸がん罹患との関連
図2 BMIと大腸がんによる死亡との関連