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科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

心血管代謝性疾患の併存と15年間の死亡リスクとの関連

アジアコホート連合における11のコホート研究のプール解析

J Epidemiol, 2025 Online ahead of print.

本研究では、アジアコホート連合に参加するアジア人を対象とした11のコホートのデータを用いて高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、脳卒中といった疾病の併存が、全死亡および心血管疾管死亡に及ぼす影響を検討しました。

対象者約48万人を解析した結果、高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、脳卒中のなかで、死亡リスクが最も高かったのは脳卒中でした。また、複数の心血管代謝疾患を持ちあわせている人では、全死亡および心血管疾患死亡リスクが高くなることが示されました。例えば、脳卒中、糖尿病、虚血性心疾患の全てを同時に持ち合わせている人ではは併存疾患のない人と比べて全死亡のリスクは約4.3倍、心血管疾患による死亡リスクは約10.6倍高くなりました。

性別による解析では、男性は虚血性心疾患による死亡リスクが最も高く、女性は高血圧、糖尿病、脳卒中による死亡リスクが高い傾向がみられました。さらに、脳卒中を虚血性と出血性に分けた場合、いずれのタイプにおいても、高血圧を併存していることが一貫して高い死亡リスクと関連していました。

本研究の結果は、心血管代謝疾患が併存することにより死亡リスクが増加することを示唆しており、アジア地域に的を絞った予防戦略の重要性が改めて示されました。

 

図1. 疾患の組み合わせごとの過去の心血管代謝疾患と全死亡リスクとの関連

 

図2. 疾患の組み合わせごとの過去の心血管代謝疾患と早死リスクとの関連

 

図3. 疾患の組み合わせごとの過去の心血管代謝疾患と心血管疾患による死亡リスクとの関連

 

図4. 疾患の組み合わせごとの過去の心血管代謝疾患心血管疾患による早死リスクとの関連

 

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