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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する研究

多目的コホートにおける血液を用いた前立腺がんのコホート内症例対照研究

背景と目的

これまでに明らかにされている前立腺がんの確実な危険因子は、高年齢、人種(黒人)、前立腺がん家族歴です。そのほかには、食事を含む生活習慣や内分泌要因など、さまざまな要因が関与しているのではないかと考えられています。特に、前立腺の発育には、アンドロゲンなどの男性ホルモンが不可欠なため、ホルモンは前立腺がんの危険因子の一つとして考えられています。農薬や殺虫剤として使われていた有機塩素系化合物は、ホルモンレセプターに結合したり、ホルモン濃度に影響を与えたりすることから、内分泌かく乱物質として報告されているので、有機塩素系化合物が前立腺がんとの関連が危惧されています。そこで、これらの化学物質が前立腺がんの発症に関連するか否かを疫学的に検討することを目的に のデータを用いて、コホート内症例対照研究を行いました

対照と方法

対象者は、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部(以上、1990年開始のコホートⅠ)、茨城県水戸、新潟県柏崎、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田市(以上、1993年開始のコホートⅡ)の10保健所管内に在住していた40?69歳の男性住民65657人です。このうち追跡開始後に判明した不適格者、前立腺がんの既往がある方を除き、ベースライン調査の質問票に回答しかつ血液検体の提供のあった対象者は 14203人でした。この対象者のうち、ベースライン調査後から2005年12月31日末までの追跡期間中に診断された初発の前立腺がん患者さん201人を症例としました。また対照は、症例の前立腺がん発症日(診断日)の時点で前立腺がんに罹っていない方から、症例と年齢が±3歳以内、管轄保健所が一致、市部または郡部在住が一致、採血年月日が±60日以内、採血時間が±3時間以内、空腹時間が±3時間以内という条件に合う対象者からさらに無作為に2名を選び対照としました
多目的コホート研究のベースライン調査(コホートⅠは1990年、コホートⅡは1993-4年に実施)では、既往歴、喫煙、飲酒、食生活などに関する項目などについて自記式の質問票調査を行い、研究用に10mLの血液の提供をお願いしました。

凍結保存してある血液検体(1mL)を用いて、血清成分の測定を行っています。

発表論文

  1. イソフラボンと前立腺がん
  2. 有機塩素系化合物と前立腺がん
no 記事 外部リンク
2 Sawada N, Iwasaki M, Inoue M, Itoh H, Sasazuki S, Yamaji T, Shimazu T, Tsugane S, For the JPHC Study Group. Plasma organochlorines and subsequent risk of prostate cancer in Japanese men: a nested case-control study. Environ Health Perspect. 2010; 118(5): 659-665.
1 Kurahashi N, Iwasaki M, Inoue M, Sasazuki S, Tsugane S. Plasma isoflavones and subsequent risk of prostate cancer in a nested case-control study: the Japan Public Health Center. J Clin Oncol. 2008; 26(36): 5923-5929.
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