J-CGEを活用し、下記の解析を実施しています。

ゲノム網羅的関連解析(Genome-wide association studies: GWAS)

肥満や高血圧といった形質(健康状態や身体の特徴)においても、多かれ少なかれ遺伝的な影響を受けて発症するのではないかと考えられています。特定の形質や疾患をもつ集団ともたない集団において、全ゲノムに網羅的に配置されたその遺伝子多型を持つ人の数がどのくらい違うのか比較することで、特定の形質や疾患に関連する遺伝子座を明らかにすることを目的とした解析です。また、近年、疫学研究の解析手法の１つであるメンデルのランダム化解析にGWASの結果が盛んに用いられています。私たちは、がんを中心とした生活習慣病のリスク因子・予防因子と関連する形質を対象としたGWASを実施しています。

メンデルのランダム化解析

従来の観察研究で行う多変量解析では、調整できていない背景因子の影響による、見かけ上の関連が観察されてしまう可能性を否定できません。見かけの関連の可能性を排除するために、例えば薬剤の効果の検証では、対象者をランダムに割り当てることにより背景因子の分布をそろえるランダム化比較試験がよく行われます。一方、喫煙・体重をはじめとする多くの生活習慣は、薬剤の場合とは異なり、対象者をランダムに割り当て介入を行うことは現実的に困難なことも少なくありません。そこでメンデルの法則を利用して、観察研究にゲノム情報を取り入れることで、擬似的にランダム化比較試験の状況を作るメンデルのランダム化解析が、注目されています。