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8訂食品成分表を用いて食事調査票から推定された詳細に分類した糖類・アミノ酸・脂肪酸摂取量の正確さについて

8訂食品成分表を用いて食事調査票から推定された詳細に分類した糖類・アミノ酸・脂肪酸摂取量の正確さについて

 

 私たちは、いろいろな生活習慣・生活環境と、がんなどの生活習慣が関係する病気との関連を明らかにし、日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。食生活と健康との関連を明らかにする研究では、一人一人の食生活を正しく把握することが重要です。次世代多目的コホート研究(JPHC-NEXT)では、習慣的な栄養素や食物の摂取量を把握するため、食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いた調査を実施しています。FFQでは、過去1年間の食事摂取状況を思い出して答えていただくため、摂取量を正確に推定できているか(妥当性があるといえるか)を確認することが不可欠です。

 日本食品標準成分表2020(食品成分表2020)が公表され、食品成分表2015より詳細な糖類、アミノ酸、脂肪酸の食品の測定項目数が増えました。本研究では、JPHC-NEXTのベースライン調査で使用した、詳細版FFQ(172項目)から推定した、詳細に分類した糖類、アミノ酸、および脂肪酸の摂取量について、実際の食事内容を把握しながら食事摂取量の測定ができる秤量食事記録調査(WFR)を基準とした場合の妥当性を検討した結果を専門誌に報告しましたので紹介します(J Epidemiol. 2024年2月公開)。 

 

研究方法の概要

 2012年11月~2013年12月に、JPHC-NEXTプロトコル採用地域である秋田県横手市、長野県佐久市および南佐久郡、茨城県筑西市、新潟県村上市・魚沼市に在住の40-74歳の男女240名の方に、4季節それぞれ3日間(計12日間)のWFRの実施と、詳細版FFQへの回答にご協力いただきました(図1)。

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 図1.研究デザイン

糖類、アミノ酸、脂肪酸摂取量の確からしさについて

 WFRを基準とした場合の、FFQによる各栄養素の推定摂取量との差と、相関係数(この値が1に近いほどFFQによる摂取量推計が確からしいことを示す)を用いて、FFQによる栄養素摂取量の確からしさを調べました。
各栄養素について、糖質は31項目、アミノ酸は21項目、脂肪酸は47項目を検討項目とし、FFQによるそれぞれの摂取量の妥当性を検討しました。
 FFQから推定した摂取量の相関係数(中央値)は、詳細に分類した糖質では、男性で0.52、女性で0.42、アミノ酸の項目では男性で0.38、女性で0.37、脂肪酸では、男性で0.42、女性で 0.42と、多くの栄養素項目で中程度かそれ以上の妥当性を示しました。

 

今回の研究結果からわかること

 今回の研究から、WFRから推定した摂取量を基準として、FFQから推定した詳細に分類した糖類、アミノ酸、脂肪酸摂取量は、疫学研究を行うために必要な、ある程度の確からしさがあることが示されました。本研究結果は、今後、日本人における詳細に分類した糖質、アミノ酸、脂肪酸の摂取量と慢性疾患などの健康状態との関連を検討するための基礎資料となります。

 

補足資料

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 食品成分表2020では、国際食品規格委員会(CODEX)で推奨されている測定法(AOAC.2011.25法)を用いた値として食物繊維摂取量(新法)が追加されています。新法により測定される低分子、不溶性、総食物繊維摂取量では相関係数が低いですが、新法で測定された食品項目数が少ないことが理由の一つと考えられます。

 

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