次世代多目的コホート研究とは
次世代多目的コホート研究を開始するにあたって
がんや循環器病など、一度かかってしまうと治療が困難で、 日常生活の維持が大変になってしまう病気に対しては、予防に最大限の力を注がなくてはなりません。こうした病気は生活 習慣と密接な関わりがあることがわかっています。
その反面、同じような生活習慣を持っている人のなかでも、病気のかかりやすさには個人差があることから、生まれながらの体質(遺伝因子)も病気のかかりやすさと関係していると考えられています。
生活習慣・生活環境と遺伝因子の両方に注目しながら、それらががんなどの生活習慣病にどのような影響をあたえているのかを解明することは、体質にあわせた生活習慣病予防法を進展させるために大変重要です。
そうした影響をしっかりと見極めるには、実際に日本に暮らす人々の集団を長期間観察することで、科学的に精査してゆく他に方法はありません。
今回の研究プロジェクトに先立ち、戦前、戦中、戦後すぐに生まれた方を対象に行われたコホート研究があります。1990年に開始されたこの多目的コホート研究は、対象となった住民全体の8割を越える方のご参加により成立し、約20年の追跡期間を経た今、皆様方がどのような生活習慣をすれば、がんや循環器疾患を予防出来るかについて、ある程度のことを明らかにすることが出来ました。
そうして得られた知識を元に、この研究にご参加いただいた方に対して、アンケートの回答をもとに、お一人お一人に対して、どうしたら健康でいられるかについてのアドバイスをお知らせしています。まずは、これまでの研究の成果を、皆様の健康づくりに十分に役立てていただくことが大切と考えています。
ただ、これまでの研究では解決しない部分がまだ数多く残されています。また、戦後、日本人の生活習慣は大きく変わってきています。さらに、最近の研究や技術の進歩により、血液などから、生活習慣病に役立ついろいろな情報が得られる可能性が出てきました。そこで、皆様方のご協力により、次の世代の方々にもつながるような、より確かな健康づ くりのためのコホート研究を立ち上げ、予防のための研究を途切れさせずに受け継いでゆく必要があります。
この20年ぶりに立ち上げられる新たな研究の趣旨を、多くの方にご理解いただき、皆様 方ご自身の健康への意識を高めて頂くと共に、次の世代の方々の、より確かな健康づくりのためにもご協力頂きたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。
研究代表者: 国立がん研究センター
2020年3月31日まで
社会と健康研究センター(旧 がん予防・検診研究センター)
センター長/予防研究グループ長 津金 昌一郎
2020年4月1日より
がん対策研究所(旧 社会と健康研究センター)
部長 澤田典絵