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朝食摂取状況と食行動及び生活様式との関連について
朝食摂取状況と食行動及び生活様式との関連について
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防や健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成23年(2011年)から平成28年(2016年)までに次世代多目的コホート研究対象地域にお住まいで、本研究へ同意いただきアンケート回答のあった40-74歳の男女を対象に、その回答結果に基づいて、朝食摂取状況と他の食行動及び生活様式について専門誌に論文発表しましたので紹介します(Public Health Nutr. 2023年2月Web 先行公開)。
これまでの複数の横断研究から、朝食の欠食が肥満、脂質異常症、高血圧、糖尿病等と関連することが示されており、重要な食事行動の一つです。一方で、世界各国で朝食を食べない人(欠食者)が増えているのが実情です。
食行動の重要な構成要素は、いつ、どこで、何を食べるかであり、これらの構成要素は、日常の生活リズムや生活様式、食文化や食環境によって影響される可能性が高いと考えられています。したがって、朝食を欠食するという問題の改善に向けては、単に朝食だけに的を絞るのではなく、関連する他の食行動や生活様式の要因を特定し、包括的なアプローチを取る必要があると考えられます。
そこで、本研究では、40-74歳の地域住民男女112,785名を対象としたアンケート調査の結果を用いて、朝食摂取状況と、食行動(過食の有無、食べる速さ、外食の頻度、インスタント食品摂取の頻度)および生活様式(就寝時刻、同居する人の有無)との関連について調べました。解析においては、年齢、地域、教育歴、飲酒状況、喫煙状況、年収、過去1年の健診受診歴について統計学的調整を行い、これらの違いによる影響を出来る限り取り除きました。
朝食を週1回以上欠食する人は、外食やインスタント食品を食べる頻度が高い
食行動に関する解析では、毎日朝食を摂取する人と比べて、週1回以上朝食を欠食した人は、外食が高頻度(週に3日以上)である割合(男性2.08倍、女性2.15倍)やインスタント食品摂取が高頻度(週に3日以上)である割合(男性1.89倍、女性1.72倍)が高いという結果でした。
図1.朝食欠食の有無と食行動との関連
※本研究における高頻度とは週3回以上
朝食を週1回以上欠食する人は、外食やインスタント食品を食べる頻度が高い
生活様式についての解析では、朝食を毎日摂取している人と比べて、朝食を週1回以上欠食している人は、遅い就寝時刻である割合が高く、(男性1.85倍、女性1.98倍)一人暮らしである割合が高いことがわかりました(男性2.37倍、女性2.02倍)。
図2 朝食摂取頻度と生活様式との関連
※本研究における遅い就寝時刻とは、就寝時刻が23時以降の場合
まとめ
本研究では、朝食の欠食を改善するアプローチを検討するために、関連する要因として、食行動や生活様式との関係を調べました。
今回の研究では、朝食の欠食グループで外食やインスタント食品摂取が高頻度である割合が高いことが示されました。先行研究により、朝食を食べない主な理由として、十分な時間がないことが報告されており、また、ファストフートやすぐに食べられる食品を好む理由として食べやすいことが報告されています。十分に時間がない中で食品を選択する際には、便利さや準備が簡単であることが重要視されていることが指摘されています。したがって、朝食を摂取するためのアプローチを考えるうえで、食事に割くことができる時間と労力の意識は、重要と考えられます。
生活様式については、朝食欠食者の方が遅い就寝時刻の割合が高いという結果でした。就寝時刻が遅い人は、概日リズムが乱れ、食欲不振から朝食を抜いている可能性も考えられます。また、同居する人の有無に関して、先行研究でも、配偶者と同居している人よりも一人暮らしをしている人で朝食を抜く割合が高いことが報告されており、本研究の結果は先行研究の結果と合致しています。
本研究は、横断データであるために、朝食欠食がその他の食行動や生活様式に影響しているのか、その他の食行動や生活様式が朝食欠食に影響しているかという因果関係については明らかではありません。また、アンケートから取得した情報であるため、食べすぎや早食いなどは、主観的な影響を受けている可能性が高い点には留意する必要があります。