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血中脂質と眼圧の関連について

血中脂質と眼圧の関連について

   私たちは、いろいろな生活習慣・生活環境と病気との関連を明らかにし、目の病気の予防に役立てる研究を行っています。今回、茨城県筑西市に在住し、2013年から2017年までに筑西眼科研究に参加された40歳以上の男女6,786名を対象に、血中脂質と眼圧の関連について検討し、その結果を専門誌に発表しましたのでご紹介いたします。(Journal of atherosclerosis and thrombosis. 2026年6月Web先行公開

 緑内障は、視神経が障害されることで視野が徐々に狭くなる病気で、世界中の不可逆な失明の主な原因となっています。緑内障の発症や進行に深く関わる因子の一つが眼圧であり、現在の治療は眼圧を下げることが中心となっています。しかし、眼圧がどのような全身状態の影響を受けるかについては、まだ十分に明らかになっていません。日本人を対象とした先行研究では、高血圧や糖尿病と眼圧の関連が報告されていますが、血液中の脂質の種類、すなわちLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪と眼圧との関係については、一定の見解は得られていません。また、これらの先行研究はヨーロッパを対象としたものが多く、東アジア人を対象とした研究は限られています。そこで本研究は、日本人一般住民を対象に、血中脂質と眼圧との関連を調べました。

 

研究方法

 茨城県筑西市で実施された眼科検診を受診し、研究参加に同意のあった40歳以上の男女9,939人のうち、緑内障と診断されている方、眼圧降下薬を使用している方、眼科手術歴のある方、解析に必要な検査データが不足している方を除外し、最終的に6,786人を解析対象としました。対象者には、専門家による面接または質問票による生活習慣や既往歴の確認に加え、血液検査、眼圧検査、角膜厚測定などを行いました。血中脂質は、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪を測定し、それぞれの値と眼圧との関連を統計学的に検討しました。さらに、脂質の種類のひとつに注目するのではなく、複数の脂質が同時に高値または低値である場合に眼圧がどのように変化するかについても調べました。

 

LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪が高いほど眼圧も高い傾向がみられた

 LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪のいずれも、その値が高いほど眼圧が高い傾向がみられました。年齢、性別、喫煙、飲酒、BMI(body mass index)、高血圧の有無、糖尿病の有無、角膜厚、脂質異常症治療薬の使用、血中脂質(LDL-C、 HDL-C、TG:検討する脂質以外)の影響を考慮したあとでも、この関連は認められました。(図1)具体的には、LDLコレステロールが10mg/dL高くなるごとに眼圧は0.04mmHg、HDLコレステロールが10mg/dL高くなるごとに眼圧は0.13mmHg、中性脂肪が10mg/dL高くなるごとに0.02mmHg上昇していました。

 また、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の3つ全てが中央値より高い群では、3つ全てが中央値より低い群に比べて、最も高い眼圧を示しました。つまり、脂質の高値が重なるほど眼圧が高くなる可能性が示されました。さらに年齢別に解析したところ、LDLコレステロールと眼圧との関連は、65歳未満よりも65歳以上の方でより強くみられました(図なし)。

 

図1 血中脂質と眼圧との関連

※年齢、性別、喫煙歴、飲酒歴、高血圧、糖尿病、BMI(body mass index)、中心角膜厚、脂質異常症の治療薬、血中脂質(LDL-C、 HDL-C、TG:検討する脂質以外)で調整

 

まとめ

 本研究から、日本人一般住民において、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値が高いほど、眼圧も高い傾向があることがわかりました。今回みられた眼圧上昇の程度は大きなものではなく、個々の患者さんに大きな臨床的影響をもたらすとは限りませんが、脂質代謝が眼圧の調節に関与している可能性を示す結果と考えられます。今後、脂質の管理が緑内障予防につながるかどうかを明らかにするためには、さらに検討を重ねる必要があります。

 

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