科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究
●生活習慣の組み合わせによるがん・循環器疾患発症割合-Web上での自己のリスク算出ツール
2009年に多目的コホート研究のデータをもとに喫煙・飲酒・BMIの3つの要因から個人が10年間でがん、循環器疾患を発症する割合を算出し、まとめています (Preventive Medicine 2009年2月 48巻128-133ページ 「概要版」)。
この結果を元に、web上での3つの要因への回答により個人のがん・循環器疾患およびこれらにその他の原因で亡くなるリスクを合計した割合が算出されるツールを開発しました。
判定結果に加えて、要因を変えた場合の結果の違いを体験できるシミュレーションを追加し、運用を開始しました。
1. 使用する要因:
男性 | |
年齢 | 40-44 / 45-49 / 50-54 / 55-59 / 60-64 / 65-69 |
喫煙 | すわないまたはやめた / 現在喫煙、一日20本 / 20-39本 / 40本以上 |
飲酒 | 飲まないまたはやめたまたは現在飲酒、月に1回未満 / 月に1-3回 / 週1回以上で<150 / 150-<300 / 300g- |
BMI | <19 / 19-<21 / 21-<23 / 23-<27 / 27-<30 / 30- |
女性 | |
年齢 | 40-44 / 45-49 / 50-54 / 55-59 / 60-64 / 65-69 |
喫煙 | すわないまたはやめた / 現在喫煙 |
飲酒 | 飲まないまたはやめたまたは現在飲酒、月に1回未満 / 月に1-3回または週1回以上で<150 / 150g- |
BMI | <21 / 21-<27 / 27-<30 / 30- |
2. 結果変数:
①10年間でがんを発症する割合、②10年間で循環器疾患を発症する割合、③10年間でがん・循環器疾患になる、あるいはその他の原因で死亡する割合
3. 結果:
説明文書、質問項目への入力、入力した内容の確認、結果の表示、シミュレーション(01)、全年齢層でのリスク表一覧(02)の6段階で構成した。
Web上での複数項目への回答により、10年間で自己のがんおよび循環器疾患を発症する割合を算出するツールを開発した。相対的な指標を用いることが主流である疫学研究において絶対的な指標を示す試みであることから、使用しての反応を確認した上で、今後他の部位のがんにも応用していく予定である。