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詳細版食物摂取頻度調査票による栄養素・食物摂取状況推定の再現性について
-次世代多目的コホート研究(JPHC-NEXT)プロトコル採用地域の中高年住民における分析-
次世代多目的コホート研究(JPHC-NEXT)では、習慣的な栄養素や食物の摂取量を把握するため、食物摂取頻度調査票(FFQ)を実施しています。FFQは質問紙を用いて行う調査方法であるため、摂取量を正確に把握できるか(妥当性)、繰り返し調査をしても同じような結果を得られるか(再現性)といった、データの信頼を裏付けることが重要です。先行研究において、ベースライン調査で使用しました詳細版FFQ(172食品項目)の妥当性は報告していますので(詳細版食物摂取頻度調査票及びその短縮版による食物摂取状況推定の妥当性と比較)、このたび、本研究において、次世代多目的コホート研究(JPHC-NEXT)のベースライン調査で使用した、詳細版FFQ(172食品項目)の再現性を明らかにし、その結果を専門誌に報告しましたのでご紹介します(Asia Pac J Clin Nutr. 2019年28巻362-370ページ)。
JPHC-NEXTプロトコル採用地域である秋田県横手市、長野県佐久市および南佐久郡、茨城県筑西市、新潟県村上市・魚沼市に在住の40-74歳の男性98名、女性142名から、2012年11~12月に1回目、2013年11~12月に2回目の詳細版FFQの回答をして頂きました。
2回のFFQの相関係数を図1に示しました。相関係数は1に近づくほど、1回目と2回目の再現性が良いことを表します。詳細版FFQの相関係数の中央値は、栄養素項目全体では、男性で0.55、女性で0.54、食物全体では、男性で0.54、女性で0.57と、多くの栄養素や食物の摂取量が中程度以上の再現性を示しました。
また、1回目、2回目の栄養素・食物の項目別摂取量をそれぞれ4等分(四分位:Q1~Q4)のグループに分け、1回目と2回目の一致度を比較した結果、男女ともに多くの栄養素や食物の摂取量について、同じグループもしくは隣接するグループ(図2、青色)で一致した割合が男女ともに栄養素、食物でそれぞれ80%を超えており、多くの栄養素・食物において、比較的高い1年間隔の再現性を有していることがわかりました。
これらの結果から、1年間隔で2回の測定によるFFQの再現性が中程度以上であることが確認されました。この詳細版FFQについては既に多くの栄養素項目で中程度かそれ以上の妥当性が確認されており、この詳細版FFQによって推定された栄養素や食物の摂取量は、疫学研究を行うために必要なある程度の正確さがあることが分かりました。この結果は、今後、次世代多目的コホート研究(JPHC-NEXT)で栄養素や食物の摂取量とがん、脳卒中、心筋梗塞などとの関連を分析する際の重要な基礎資料となります。