平鹿胃がん予防研究
パイロット研究
パイロット研究の概要
日本でこのような研究は前例がなかったことから、この研究の実施可能性や血中のβ-カロテンおよびビタミンC濃度の推移を事前にみる目的で、本研究を始める 前にパイロット研究を行いました。 人間ドック受診者で萎縮性胃炎と血清学的に診断された方を対象に、β-カロテン3レベル(0, 3, 30mg/日)のいずれかおよびビタミンC 3レベル(0, 50, 1000mg/日)のいずれかの9群に割り付け、3ヶ月服用していただきました。慢性萎縮性胃炎と診断された90名のうち55名の方に研究へ参加いただき ました。つまり参加率は61%得られました。また、55名中1名の方は体部に発疹が出て服薬を中止しましたが、残る54名の方は服薬を中止するような臨床 症状が出現せずに3ヶ月の服用を終了いたしました。 血中濃度をみましても、ビタミンC濃度は服用開始後1ヶ月でプラトーに達し、3ヵ月後も持続していました。ベースライン時と比較して0, 50, 1000mg群それぞれ3ヵ月後には31, 29, 94%の上昇を示しました。β-カロテン濃度の方は比較的ゆっくり上昇し 0, 3, 30mg群でそれぞれ3ヵ月後には25, 171, 830%の上昇を示しました。6割を超える十分な参加率、数少ない副作用、血中濃度の服用レベルに応じた推移の確認が得られましたので、本研究を実施可能 と判断いたしました。【発表論文1】【発表論文3】
対象者の方への結果還元、また健康づくりに役立つ情報を発信するためにニュース・レターを配布しています。
パイロット研究対象者向け「健康づくりパイロットニュース」
- 第1号 - 1997年(平成9年) 1月
- 第2号 - 1997年(平成9年) 10月
- 第3号 - 1998年(平成10年)
- 第4号 - 1999年(平成11年)
- 第5号 - 2000年(平成12年)
- 第6号 - 2002年(平成14年)
- 第7号 - 2003年(平成15年)
- 第8号 - 2004年(平成16年)
パイロット研究の成果
1. 本研究の実施可能性を検討するためにドック受診者を対象にパイロット研究を行いました。90名の対象者のうち55名(61%)が参加に同意しました。う ち、54名が重篤な副作用もなく3ヶ月の服用を終了しました。この結果から本研究は実施可能と判断されました。【発表論文1】
2. パイロット研究での3ヶ月のβカロテンとビタミンCの服用の結果、βカロテンは1ヵ月後(ベースラインと比較して597%上昇)から3ヵ月後(830%上 昇)まで緩やかに上昇したのに対し、ビタミンCは1ヶ月でプラトーに達し(88%上昇)、3ヵ月後まで維持しました(95%上昇)。高用量の補給剤の服用 により、血中濃度も十分に変化することが確認できました。【発表論文3】