平鹿胃がん予防研究
本研究の方法
1.対象者
胃がんの死亡率の高い秋田県のある村の住民で老人保健法による総合健診受診者のうち血清のペプシノーゲンの値から慢性萎縮性胃炎があると診断された40-69歳の男女のうち同意の得られた方を対象としています。
2.研究デザイン
βカロテン | |||
0mg | 15mg | ||
ビタミンC | 50 mg | A | B |
500 mg | C | D |
対象者をβカロテン(0または15mgのいずれか)、ビタミンC(50または500mgのいずれか)の計4群(右表A, B, C, D)のいずれかに無作為に割り付けました。なお、いずれの群に割り付けられたかは対象者にも研究実施者にも伏せるいわゆる二重盲検による無作為割付法を行 いました。
3.プロトコールの変更
と ころが、研究を開始して数ヶ月経過した時点で、βカロテンが肺がんに無益あるいは有害の可能性があるとの海外での報告を受けて、プロトコールの変更を余儀 なくされました。まずβカロテンの投与は中止し、ビタミンCのみの投与としました。対象者は4年かけて4つの町・村で収集する予定でしたがすでに収集済み の1村に限定し、それ以上広げませんでした。そのため対象者が当初の予定数を大幅に下回りましたので、エンドポイントも胃がんから萎縮の進展への影響に変 更し、他の疾患やバイオマーカーについても検討することとしました。
4.本研究の流れ-まとめ
1231名の健診受診者のう ち52% にあたる635名が血清のペプシノーゲンの値から慢性萎縮性胃炎と診断されました。そのうち33名はすでにがんにかかっていたり、ビタミン剤の服用をして いたことから除外し、602名について参加を呼びかけました。73%にあたる439名の方がご参加くださいました。途中でプロトコールの変更がありました が最終的に低用量群120名および高用量群124名合計244名の方が5年間の服用を終了いたしました。
研究の流れ
参加者の推移
5.本研究のスケジュール
1995 年から5年間、ビタミン剤を配布し、服用していただきました。その間の血液生化学や血圧などの値を含む基本健診のデータを蓄積しました。また、1995年 と2000年に採取した血液を使用してペプシノーゲンおよびビタミンC(ビタミンCは1996年も)を測定し、同年には「食生活を含む生活習慣について尋 ねたアンケート」を行いました。2005年まで現在も追跡中です。
食生活を含む生活習慣について尋ねたアンケート
(4.87MB)
6.健康教育
対象者の方への結果還元、また健康づくりに役立つ情報を発信するためにニュース・レターを配布しています。