平鹿胃がん予防研究
本研究の方法
1.対象者
食塩摂取量が多く、また胃がんの死亡率の高い秋田県の2つの村の健康な住民で、老人保健法による健診受診者およびその家族(40-69歳)のうち、研究への参加同意を得られた男女550人を対象としました。
2.研究デザイン
参加者を無作為に2群に割り付け、半数を初年度指導群として1年目に調査結果に基づいた指導をおこないました。残りの半数は、2年目指導群として1年目は調査のみを行い、指導はおこなわず、2年目に指導をしました。
3.食事指導の方法
(1) 食事指導の目標
胃がんの食事関連因子として、食塩、カロテンおよびビタミンCを食事指導のターゲットとし、それぞれ、
- 減塩
- カロテンおよびビタミンCの摂取量を増やすこと
を目的としました。
具体的には、
- この地域において、食塩の主な摂取源となっている、みそ汁、漬物、塩蔵魚・魚の干物の摂取を減らす
- ビタミンCおよびカロテンが豊富な緑黄色野菜の摂取量を増やす
ことを重点的に指導しました。
(2) 食事指導の方法
毎年、春に自治体で行っている健康診断にあわせて、食事調査およびその他の調査を行いました。
指導群に対しては、その食事調査の詳細な結果をもとに、栄養士が一人あたり約15分間の面接による個別指導をおこないました。
【DHQの個人結果表のサンプル】
あらかじめ用意した40種類のリーフレットの中から、個人の結果に合わせて2~3種類を選び、指導の際の資料として用い、対象者にお渡ししました。リーフレットには、具体的な調理の工夫や、食品の選び方などを紹介しました。
10ヶ月の指導期間中にもう一度、同様の食事調査と食事指導をおこないました。その他、ニュースレターを2回配布し、「食事と胃がん」についての講演会も1回開催しました。
【ニュースレターNO.1】
【ニュースレターNO.2】
【ニュースレターNO.3】
4.食事指導の効果の評価方法
食事習慣の変化を食事調査によって評価しました。また、蓄尿(2日間の蓄尿)や採血によって得られる、生体指標(尿中のナトリウム排泄量、血清中のビタミンCおよびカロテンの濃度)も指導効果を評価するための指標として用いました。
5.研究への参加率
研究への参加に同意した男女550人を対象として、研究を開始しました。はじめの1年間に16人の対象者が、仕事や家の事情などで研究を中断されました。2年目にも同様の理由で、25人が中断されました。
6.追跡調査の実施
指導終了後、食事指導の効果がどの程度持続するのか検討することを目的として、研究終了から3年後にあたる平成15年に追跡調査を実施しました。研究に最後まで参加してくださった対象者の中から308人に追跡調査を実施し、278人から食事調査への回答をいただきました。