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多目的コホート研究(JPHC Study)

2006/1/19 胃がん検診受診と胃がん死亡率との関係

多目的コホート(JPHC)研究から、胃がん検診の受診と、その後の胃がんによる死亡との関係を調べた報告が論文発表されました。(「インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー」2005年12月5日電子版発行)

前向きコホート研究で、胃がん検診の有効性を検証

現在広く行われているがん検診のすべてについて、受診者で対象となるがんによる死亡率が減っていることが確認されているわけではありません。胃がん検診(胃 X線検査)については、厚生労働省の研究班から、これまでに実施された研究をまとめ、「死亡率減少効果を示す相応な証拠があるので、集団および個人を対象として、胃X線検査による胃がん検診を実施することを勧める」と報告されています。(『胃がん検診ガイドライン』がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究班(主任研究者:国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 情報研究部長 祖父江友孝); 科学的根拠に基づくがん検診推進のページ)。
しかしながら、その根拠とされた疫学研究は、主に症例対照研究であり、より質の高い一般住民を対象とした前向きコホート研究で、受診したグループで死亡率の低下をはっきりと示す結果は、限られていました。

胃がん検診受診で、胃がん死亡は予防できる

そこで、多目的コホート研究の一環として、40‐59歳の男女約4万人を13年間追跡したデータを用いて、胃X線検査の受診とその後の胃がんによる死亡リスクとの間にどのような関連があるかを調べてみました。すると、過去1年間に受診したことがあると答えたグループでは、受診したことがないと答えたグループに比べ、胃がんによる死亡率が約半分に抑えられたことがわかりました。同じグループで、全体の死亡率の低下は約3割、他のがんによる死亡率の低下は約2 割にとどまったことから、受診したことがあるグループはもともと健康意識の高いグループではあるけれども、やはり胃がん検診受診による胃がん死亡の予防効果が、ある程度あったと考えられます。
この結果によって、これまでにわかっていた胃がん検診の有効性が、さらに補強されることになりました。

詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。

胃がん検診ガイドライン

また、胃がん検診の有効性評価のシステムや評価等については、前述の研究班のHPに2005年末に作成された「胃がん検診ガイドライン」が公開されていますので、あわせてご参照ください。

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