多目的コホート研究(JPHC Study)
2018/01/22 自覚的ストレスとがん罹患との関連について-多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果-
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、自覚的ストレスとがん罹患との関連についての研究の結果が発表されました。
この論文の状況は以下の通りです。
Scientific Reports. 公開済み
自覚的ストレスとがん罹患との関連について
今回の研究では、平成2年(1990年)に40~69歳だった男女約10万の対象者を、平成24年(2012年)まで追跡した調査結果にもとづいて、自覚的なストレスとがん罹患との関連を調べました。
ストレスは、様々な病気のリスク要因であることが示唆されていますが、そのメカニズムは解明されていません。がんとの関連についても研究が進んでいません。我々は、調査開始時のアンケートの回答から、日常的に自覚するストレスの程度について3つのグループ(低、中、高)に分けて、その後のがん罹患を比較しました。また、調査開始時と5年後調査時のストレスに関する回答の組み合わせから、自覚的ストレスの変化を6つのグループ(常に低、常に低・中、常に中、高が低・中に変化、低・中が高に変化、常に高)に分けて、全がん罹患リスクとの関連を検討しました。
その結果、自覚的ストレスレベルが「低」のグループに比べ、「中」および「高」のグループで、全がん罹患リスクが上昇している傾向にありました。さらに、自覚的ストレスの変化に関して、常に自覚的ストレスレベルが高いグループは、常に低いグループに比べ、全がん罹患リスクが11%上昇していました。
長期的にみると、自覚的ストレスレベルが高ければ、全がん罹患リスクが高くなるという関連が認められました。ストレスががんを引き起こすメカニズムは良く分かっていないため、更なる検討を行うことが重要といえます。
詳しくは、ホームページに掲載される概要版をご覧ください(2018年1月20日公開)。