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多目的コホート研究(JPHC Study)

2010/2/4 塩分・塩蔵食品とがん・循環器疾患について

JPHC研究からの論文発表のお知らせ

多目的コホート(JPHC)研究から、塩分・塩蔵食品とがん・循環器疾患の発生リスクとの関連を調べた研究の結果が発表され ました。
論文の状況は以下の通りです。

Am J Clin Nutr. 2010年91巻 456-464ページ

塩分は循環器疾患、塩蔵食品はがんのリスクを高める

高塩分が高血圧を招くことや、高塩分食品や塩蔵食品が胃がんのリスクを高くすることはよく知られています。

多目的コホート研究では、これまでに、食塩摂取量の多い男性で胃がんのリスクが高く、また塩分濃度の高いいくら、塩辛、練りうになどをよく食べるグ ループで男女とも胃がんリスクが高いという結果を報告しました。

高塩分や塩蔵食品の摂取は日本人の食生活の特色の1つに数えられます。そうした食習慣が、がんの発生や循環器疾患(脳卒中・心筋梗塞)の発症に対してどれ くらい影響しているのか、その対策によってどれくらいの効果が期待できるのか、まだ明らかになっていません。

そこで、今回の研究では、多目的コホートの45-74歳の男女約8万人について、食習慣についてのより詳しいアンケート調査の結果を用いて、ナトリウム、 塩蔵食品の摂取量と全がん、全循環器疾患のリスクとの関連について検討しました。

平均で約8年の追跡期間中に4476人に何らかのがんの発生、2066人に循環器疾患の発症を確認しました。ナトリウムの摂取量で5つに分けて比較する と、最も多いグル-プで最も少ないグループに比べて、循環器疾患のリスクが1.19倍(約20%)高いことがわかりました。全がんのリスクは変わりません でした。

一方、塩蔵食品の最大グループでは、塩蔵魚や干物では1.11倍、たらこ等魚卵では1.15倍、全がんのリスクが高いことがわかりました。循環器疾患リス クは変わりませんでした。

塩との関連が強い疾患を個別に見ても同様で、ナトリウムで脳卒中のリスクが約1.2倍、塩蔵食品で胃がんのリスクが約1.5から2.2倍高いという結果で した。

研究の結果について

日本人は塩蔵食品を控えるほか、食卓や調味でのしょうゆや食塩、濃い味付けを控えることにより、がん・循環器疾患の両方の予防が期待できます。

目安として、「生活習慣改善によるがん予防法の開発に関する研究班」では、現状では食塩は1日あたり男性10g、女性8g未満、特に、高塩分食品(たとえ ば塩辛、練りうになど)は週に1回以内に控えることを目標としています。

魚は心筋梗塞の予防になることがわかっていますので、塩蔵魚や干物をよく食べる人は塩分の少ない薄味のもの、生鮮品を選ぶようにするとよいでしょう。

尚、今回の研究では、アンケート調査をもとに塩分や塩蔵食品などの摂取量を推定しました。この方法では、摂取量によるグループ分けをする場合に、誤分類が 生じる可能性を避けられません。したがって、実際のリスクの数値は得られた結果よりも大きいであろうと予想されます。

詳しくは、ホーム ページに掲載された概要版をご覧ください。
塩分・塩蔵食品と、がん・循環器疾患の関連について

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