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多目的コホート研究(JPHC Study)

2008/7/18 タイプA行動パターンと虚血性心疾患

JPHC研究からの論文発表のお知らせ

多目的コホート(JPHC)研究から、タイプA行動パターンと虚血性心疾患リスクとの関連を調べた結果が発表されました。 論文の状況は以下の通りです。 International Journal of Epidemiology 2008 年7月WEB先行公開

男性ではむしろタイプBで虚血性心疾患発症のリスクが高い

欧米の先行研究では、タイプA行動パターン(せっかち、怒りっぽい、競争心が強い、積極的などの行動パターン)を持つ人では、持たない人(タイプB行動パターン)に比べて、虚血性心疾患発症のリスクが高いことが報告されています。 しかしながら、日本人において、タイプA行動パターンと虚血性心疾患発症との関連を調べた報告はありませんでした。 今回、多目的コホート研究で、この「タイプA行動パターン仮説」を検討しました。40〜69歳の男女約8万6000人を対象に、行動パターンに関するアンケートを行い、タイプの違いを点数化しました。それによって4つのグループに分け、グループ間で虚血性心疾患発症のリスクを比較しました。 平均で約11年半の追跡期間中、669人に虚血性心疾患の発症が確認されました。 その結果、男女合計では統計学的に有意な虚血性心疾患の発症リスクの差は見られませんでした。 男性では、前述の仮説に反して、「タイプB行動パターン」グループで「タイプA行動パターン」グループに比べて、発症リスクが1.3倍高いとい結果が見られました。 一方、女性では、統計学的な有意差はないものの、仮説と同様に「タイプB行動パターン」グループで0.8倍と発症リスクが低いという傾向が見られました。

タイプAには、やはり虚血性心疾患リスクの高い生活習慣が多い

次に、行動パターンと生活習慣との関係を分析した結果、「タイプA行動パターン」グループでは、「タイプB行動パターン」グループに比べて、身体活動量は多いものの、虚血性心疾患危険因子である喫煙、多量飲酒、日常ストレスの保有率が高いことが、男女共に認められました。

研究結果について

今回の研究では、「タイプA行動パターン」グループでは、喫煙、多量飲酒、日常ストレスの保有率が高い一方で、男性では虚血性心疾患リスクと一致しませんでした。この結果は、行動パターンの影響が性や文化的背景によって異なる可能性を示しますが、今後より詳細な検討が必要です。 詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
タイプA行動パターンと虚血性心疾患発症リスクとの関連—概要—

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