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現在までの成果

食事パターンと乳がんリスクとの関連について

―「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果報告 ―

 

私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、新潟県長岡、茨城県水戸、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所管内にお住まいだった方々のうち、平成7年(1995年)と平成10年(1998年)にアンケート調査に回答していただいた45〜74歳の女性約5万人を平成24年(2012年)まで追跡した調査結果に基づいて、食事パターンと乳がんリスクとの関連を調べました。その研究結果を専門誌に論文発表しましたので紹介します(British Journal of Nutrition 2016年ウェブ先行公開)。

乳がんは、女性における罹患率が世界的に最も高いがんであり、日本人女性の乳がん罹患率は増加傾向にあります。乳がんの発生には、食事が深く関わっていることが知られています。しかし、これまでの研究では個別の食品や栄養素に焦点を当てたものが多く、乳がんと食事のバランス全体を検証した研究はほとんど行われていません。そこで本研究では、食事パターンと乳がんリスクとの関連について検討しました。

 

研究方法の概要

今回の研究対象に該当した49,552人を、2012年末まで約15年追跡したところ、718人が乳がんと診断されました。5年後調査のアンケート結果に基づき、134品目の食品及び飲料の摂取量を用いて、野菜や果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海そう類、脂の多い魚、緑茶などが関連した「健康型」、肉類・加工肉、パン、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、乳製品、魚介類などが関連した「欧米型」、ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物などが関連した「伝統型」の3つの食事パターンを抽出しました。

 

欧米型食事パターンのグループで乳がんリスクが上昇

5年後調査時の3つの食事パターンについて、各対象者におけるパターンのスコアにより5つのグループに分類し、その後の乳がんリスクとの関連を調べました。その結果、欧米型食事パターンのスコアが最も高いグループで、乳がんのリスクが32%上昇することが分かりました(図1)。また、閉経後の女性において、欧米型食事パターンのスコアが最も高いグループでも乳がんリスクの上昇傾向がみられました。

  

欧米型食事パターンのスコアが高いほど、ホルモン依存性の乳がんリスクが高くなりやすい

乳がん組織のホルモン受容体別にみると、欧米型食事パターンのスコアが最も低いグループに比べ、スコアが比較的高いグループにおいて、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体がともに陽性の乳がんリスクが上昇し、スコアが最も高いグループのリスクが2.49倍になりました (傾向性p<0.01)(図2)。一方、他の食事パターンと乳がんの関連はみられませんでした。

 

 

この研究について

今回の研究は、日本人における食事パターンとホルモン受容体別乳がんリスクとの関連を検討した、初めての大規模なコホート研究になります。今回の結果では、欧米型の食事パターンと乳がんリスクとの間に関連が認められました。欧米型食事パターンでは、肉類・加工肉、乳製品、酒類、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、魚介類などの摂取が多く見られますが、そのうち飲酒や肉類・加工肉の過剰摂取と乳がんとの関連はこれまでの研究から指摘されています。食事パターンとホルモン受容体別乳がんに関する研究は国内外からもまだ少なく、今後さらなる研究結果の蓄積が必要です。

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