多目的コホート研究(JPHC Study)
2010/12/22 今後10年間の大腸がん発生リスクを予測する研究結果
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、今後10年間の大腸がん発生リスクの予測を検討した研究の結果が発表されました。
この論文の状況は以下のとおりです。
Cancer Epidemiology 2010年34巻:534-41頁
4つの生活習慣要因でかなりの差が生じる
疫学研究の結果として、ある要因を持つ人が持たない人に比べ何倍大腸がんになる確率が高いかという相対リスクの分析結果がよく用いられます。
今回、多目的コホート研究では、5つの因子の組合せで個人のスコアを出し、それによって今後10年間に大腸がんになる確率が何%なのかを算出するという予測モデルを検討しました。
男性で大腸がんに大きな影響を与える5つの因子は、年齢、肥満度、身体活動、飲酒、喫煙です。
スコアシートに従って決まった5つのスコアの合計点から、10年間で大腸がんになる確率が示されます。
たとえば、50歳で他のすべての要因のスコアが最高点(悪い条件)だった場合には、10年間に大腸がんになる確率は3.3%になります。
逆に最も良い条件の場合には0.7%であり、同じ年齢でも生活習慣によって差が生じることがわかります。
ライフスタイルを見直すきっかけに
尚、女性では男性ほど大腸がんの予測因子がはっきりしていないために、同様の検討ができませんでした。
また、実際には5つの因子以外にも食事要因や体質、過去の病歴などさまざまな因子の複雑な影響があります。
分析を担当した研究者の1人である笹月静・予防研究部室長は、わずか5つの因子の結果次第で大腸がんの発生する確率が異なることを実感し、具体的にライフスタイルを見直すきっかけとして活用していただきたいと述べています。
詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
男性が10年間で大腸がんを発生する確率について:危険因子による個人のがん発生の予測