多目的コホート研究(JPHC Study)
2009/12/25 飲酒と乳がんの発生リスクについて
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、飲酒と乳がんの発生リスクとの関連を調べた研究の結果が発表されました。
論文の状況は以下の通りです。
Internatnional Journal of Cancer WEB先行公開中
お酒を飲む女性は乳がんリスクが高い
飲酒と乳がんリスクの関連は、動物実験や、主に欧米の疫学研究で、すでに数多く発表され、国際的な評価では飲酒が乳がんリスクを高めるのは確実とされています。
日本人女性の飲酒状況(週当たりのエタノール摂取量)と乳がんの発生リスクの関連を、多目的コホートで検討しました。
40~69歳の女性約5万人を、「過去に飲んでいた」、「飲んだことがない」、「時々飲む(月に1-3日)」、「週にエタノ-ル換算で150g以下の飲酒」、「週にエタノ-ル換算で150gより多い飲酒」の5つのグループに分けました。
約13年の追跡期間中に、572人の乳がん発生を確認しました。
その結果、飲酒量が多い、つまり「エタノール換算で週150gより多く飲酒」するグル-プでは、「飲んだことがない」グループに比べて、乳がんリスクが1.75倍(約75%)高いことがわかりました。エタノール換算で150gに相当する飲酒量は、日本酒なら約7合、ビールなら大瓶約7本、ワインなら約14杯(1杯120ml)、ウイスキーならダブル約7杯です。
研究の結果について
今回の結果、欧米とは、酒の種類、量、遺伝的背景、環境要因などが異なる日本人においても、飲酒する人はしない人にくらべ、乳がんになりやすいということが、前向き追跡研究で改めて裏付けられました。
国際的評価と同様、日本人においても、お酒を飲みすぎないことが乳がん予防につながるのは確かなようです。
詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
飲酒と乳がん罹患との関係について ―概要―