多目的コホート研究(JPHC Study)
2007/12/3 イソフラボンと心筋梗塞・脳卒中
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、イソフラボン摂取と心筋梗塞・脳梗塞との関連を調べた結果が発表されました。 論文の状況と担当研究者は以下の通りです。 Circulation 11月20日WEB先行公開、11月27日発行(116巻 2553-2562頁) 担当:小久保 喜弘・ 国立循環器病センター 予防検診部医長
大豆で、女性の脳梗塞・心筋梗塞のリスク減
JPHC研究参加者のうち、研究開始時に40—59歳の男女約4万人を対象に、大豆、大豆以外の豆類をとる週当たりの日数と、食事からのイソフラボンの1日当たりの摂取量を算出しました。その後約11年の追跡期間中に、587人に脳梗塞、308人に心筋梗塞の発症が確認されました。年齢や喫煙、飲酒、肥満などによる影響を取り除き、大豆、豆類、イソフラボンの摂取量でグループ分けして、脳梗塞・心筋梗塞リスクを比べました。 その結果、女性で、大豆の摂取量が多いグループほど脳梗塞・心筋梗塞の発症、および循環器疾患による死亡のリスクが低いという関連が見られました(最も多いグループでは、最も少ないグループより、発症リスクが約3割、死亡リスクが約7割低減)。一方、男性では、そのような関連は見られませんでした。
特に閉経後の女性で、イソフラボン摂取量が多いほど脳梗塞・心筋梗塞のリスク減
イソフラボンの摂取量を算出し、多い順に5つのグループに分けると、女性で、摂取量の多いグループほど脳梗塞・心筋梗塞リスクが低くなるという傾向が見られました(最も多いグループでは、最も少ないグループより、発症リスクが約6 割低減)。 また、循環器疾患による死亡のリスクについても、女性でイソフラボンの摂取量が多い2つのグループを合わせると、最も少ないグループの0.17倍と低いことがわかりました。 さらに、調査開始時に閉経前か閉経後かで分けて調べると、特に閉経後の女性でイソフラボン摂取量が多いほど脳梗塞・心筋梗塞リスクが低いという関連が見られました。
研究結果について
この研究結果から、食事からのイソフラボンの摂取が、女性で、特に閉経後の脳梗塞・心筋梗塞の発症および循環器疾患による死亡リスクを低減させることが、初めて示されました。 閉経後の女性は、大豆を積極的に食べることによって、脳梗塞・心筋梗塞を予防できる可能性があります。ただし、大豆には、イソフラボン以外に含まれる成分があるため、イソフラボンのみの効果(サプリメント)で予防できるかどうかはわかりません。 詳しくは、概要版をご覧ください。
イソフラボンと脳梗塞・心筋梗塞発症との関連について -概要-