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多目的コホート研究(JPHC Study)

2007/10/5 緑茶・コーヒー摂取/肥満指数・運動量、喫煙・糖尿病歴と 膵がんについて

JPHC研究からの論文発表のお知らせ

多目的コホート(JPHC)研究から、1)緑茶またはコーヒー摂取と膵がんの関連を調べた研究成果と2)肥満と余暇の運動と膵がんとの関連および喫煙習慣、糖尿病歴の影響を調べた研究成果が発表されました。 論文の状況と担当研究者は以下の通りです。

  • European Journal of Cancer Prevention受諾    第66回日本癌学会学術総会(横浜パシフィコ)にて2007年10月5日に発表予定。
  • Cancer Causes & Control 18巻に 2007年8月掲載。

担当:井上真奈美・国立がん研究センター予防研究部室長/10月5日(金)日本癌学会学術総会(横浜パシフィコ)ポスターセッション会場(16:30-18:00までの後半に予定)にて。

男性でコーヒー摂取量が多いほど膵がんリスクが低い。緑茶は関連なし

JPHC研究参加者のうち、40—69歳の男女約13万人を対象に、膵がんの発生について約11年追跡調査を行いました。その間に男性135人、女性98人が膵がんになりました。年齢や喫煙、肥満などによる影響を取り除き、緑茶の摂取頻度で5つのグループに分けて膵がんリスクを比べましたが、関連が見られませんでした。 また、コーヒーの摂取頻度で5つのグループに分けて膵がんリスクを男女別に比べると、男性では、よく飲むグループほどリスクが低くなる傾向が見られました。女性では同様の関連は見られませんでした。 1981年、コーヒーは膵がんリスクを増加させるという米国の症例対照研究の結果が発表さましたが、それ以後、はっきりした結論は得られていません。この関連をまとめた国際がん研究機構(IARC)の報告書(1991)では、「コーヒーによる膵がんリスクの中程度の上昇が認められるが、それは因果関係ではなく、バイアスか別の要因によるものかもしれない」としています。今回は、アジア人を対象とするコホート研究で、男性のみですが、逆に予防的かもしれない可能性を示す結果になりました。

たばこ、糖尿病は膵がんリスクに影響

JPHC研究参加者のうち、40—69歳の男女約13万人を対象に、膵がんの発生について約11年追跡調査を行いました。その間に男性128人、女性96人が膵がんになりました。 男性では、喫煙者は非喫煙者の1.8倍、糖尿病歴保有者はそうでない人の2.1倍、膵がんリスクが高いことがわかりました。女性でも、統計学的に有意というわけではありませんが、同様の傾向が見られました。 肥満指数(BMIや週当たりの余暇の運動日数と膵がんの関連は見られませんでした。運動には血糖を下げる効果があり、膵がんに予防的であることが期待されますが、これまでの研究結果は一致しておらず、今回の研究でも、余暇の運動の予防効果は確認できませんでした。

研究結果について

膵がんのリスクは、喫煙習慣あるいは糖尿病との関連以外に、はっきりしたことがわかっていません。お茶やコーヒー摂取、体形や運動などの生活習慣が、どのような集団で膵がんにどの様に影響するのか、今後さらに研究を重ねて確認する必要があります。 詳しくは、概要版をご覧ください。
肥満指数・運動量、喫煙・糖尿病歴と膵がんとの関連について -概要- 
緑茶・コーヒー摂取と膵がんとの関連について -概要-

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