多目的コホート研究(JPHC Study)
2006/1/16 魚、n-3脂肪酸と虚血性心疾患発症の関係
多目的コホート(JPHC)研究から、魚と、その成分であるn‐3脂肪酸との関係を調べた報告が論文発表されました。(「サーキュレーション」2006年1月9日電子版発行)
日本では、欧米に比べ、心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患の発生率が低く抑えられてきました。欧米での研究では、魚を食べない人に比べ、週に1‐2回食べる人では虚血性心疾患の発症リスクが低いという結果が報告されています。日本人は、欧米人に比べ、魚をよく食べます。しかし、実際にたくさん食べる人ほど魚の虚血性心疾患予防効果が高くなるかどうかを示す疫学研究結果は、これまで報告されていませんでした。
そこで、多目的コホート研究の一環として、魚と、魚に豊富な成分で血管を詰まらせ難くする効果があるEPAとDHA(いずれも n-3 脂肪酸)の摂取量が、虚血性心疾患のリスクとどのような関連があるかを調べてみました。
すると、魚の摂取量では、最も多い1日当たり180gのグループの全虚血性心疾患のリスクは、最も少ない20gのグループの約6割(63%)になりました。心電図、血液検査などで心筋梗塞と確定診断されたものに限ると約4割(44%)と、リスクの低下傾向がよりはっきり示されました。また、EPAとDHAの合計量については、最も多いグループの全疾患のリスクは最も少ないグループの約6割(58%)、心筋梗塞と確定診断されたものに限ると約4割(35%)になりました。
これまでの欧米の研究で、週に1-2回魚を食べると虚血性心疾患が予防できることはわかっていました。今回の日本の研究では、それより多い量でも、週に8回くらいまでは、食べれば食べるほど予防効果が高くなることがわかりました。
詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
ところで、魚の摂取量については、妊婦は水銀含有量が高い魚介類を偏って多量に食べ過ぎないようにという注意事項が厚生労働省から出され、魚食によるメリットとリスクのバランスが論じられています。
「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」について(Q&A)
厚生労働省医薬局食品保健部基準課、平成15年6月3日公表。