多目的コホート研究（JPHC Study）
2012/2/29 禁煙後の糖尿病リスクについて
ＪＰＨＣ研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート（JPHC）研究から、禁煙後の糖尿病リスクリスクを 検討した研究の結果が発表されました。
この論文の状況と担当者は以下のとおりです。
PLoS ONE 7(2): e17061. doi:10.1371/journal.pone.0017061
禁煙後に糖尿病リスクが上がる
多目的コホートで、5年間の追跡期間中に新たに禁煙した人の糖尿病発症のリ スクを、更にその後の5年間の追跡期間中に調べ、非喫煙者、過去喫煙者、現喫 煙者のリスクと比較しました。
男女ともに新たに禁煙したグループの糖尿病発症のリスクは非喫煙者よりも高 くなりました。また、新たに禁煙した男性のうち、大きな体重増加の無かったグ ループ、追跡開始時の肥満度（BMI）が高かったグループ、喫煙量の多かったグ ループ等に、高いリスクがみられました。ただし、身体活動度の高いグループで はリスクは上がりませんでした。
過去に喫煙経験があった男性を調べたところ、禁煙してから5年間は糖尿病発 症リスクの上昇がみられ、その後のリスクは低下しているという傾向がわかりま した。
このように禁煙をした人にも一定期間の糖尿病リスクの高まりがみられるとい うことは、国外の研究でもいくつか報告があります。禁煙に伴う体重増加がその 理由の１つと考えられますが、今回の研究では体重が増えないグループでもリス クが上がっていました。インスリン抵抗性への影響や、喫煙による膵臓のβ細胞 への悪影響が禁煙後に形を変えて続くなどのメカニズムが考えられますが、まだ よくわかっていません。また、2型糖尿病は、初期の段階では深刻な自覚症状は まれな疾患です。このため、既に糖尿病を発症していた人が本研究に含まれてい た可能性はあります。
いずれにしても、禁煙に成功した方もすぐに安心することなく、しばらくは糖 尿病発症リスクの高まりがあることに留意して頂くことが重要です。
詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
