多目的コホート研究(JPHC Study)
2013/09/25 女性における飲酒と循環器疾患発症との関連について
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、女性における飲酒と循環器疾患発症との関連を検討した研究の結果が発表されました。この研究により、日本人女性において、多量飲酒と脳出血及び脳梗塞の発症リスク増加との関連が初めて示されました。
この論文の状況は以下のとおりです。
Preventive Medicine 2013年9月WEB先行公開
女性でも多量飲酒で脳卒中の発症リスクが増加
これまで、アルコール摂取量と脳卒中、虚血性心疾患の発症リスクについての研究報告の多くは男性を対象にしたもので、とくに日本人の女性を対象とした研究は、多量飲酒者が少ないことや虚血性心疾患の発症率が低いことなどの理由からほとんど検討されていませんでした。そこで、多目的コホートの40~69歳の女性約4万7000人を平均で約17年間追跡した調査結果をもとに、アルコール摂取と脳卒中および虚血性心疾患発症との関係を検討しました。アルコール摂取量を、「飲まない」、「時々飲む」、「週にエタノール換算で1-74g」、「週に75-149g」、「週に150g-299g」、「週に300g以上」に分けて、「時々飲む」を基準として発症リスクを算出しました。追跡期間中に1864人が脳卒中になり、その内訳は、脳内出血が532人、くも膜下出血が338人、脳梗塞が964人、その他が12人でした。また、292人が虚血性心疾患にかかりました。分析の結果、「週に300g以上」のグループの全脳卒中のリスクは2.30倍、出血性脳卒中(脳内出血+くも膜下出血)では2.38倍、脳内出血では2.85倍、脳梗塞では2.03倍と増加が認められました。一方、虚血性心疾患では、発症数が少なく、はっきりした傾向はみられませんでした。
近年、女性も飲酒する機会が増え、アルコールの摂取頻度や量の増加が予想されますが、健康維持のためには、アルコール摂取量は週に150gを超えない程度(日本酒換算で1日1合未満)にとどめることが望ましいと考えられます。
詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
女性における飲酒と循環器疾患発症との関連について