多目的コホート研究(JPHC Study)
2014/04/16 出産回数と歯の健康との関連について
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、出産回数と歯の健康との関連について検討した研究の結果が発表されました。この研究により、出産回数の多い女性では歯を失うリスクが高いことが示されました。
この論文の状況は以下のとおりです。
BMJ Public Health 2013年13巻993ページ
出産回数と歯の健康についての正しい知識を
秋田県横手保健所管内にお住まいの多目的コホート研究参加者(1990年に40-59歳であった男女約1万5,000人)に対し、2005年に歯科アンケート調査と歯科健診受診への協力をお願いし、東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野による歯科研究が開始されました。2006年1月までに男性706人、女性812人、合計1,518人がこの歯科研究に参加しました。 出産回数と歯を失うリスクについて解析したところ、出産回数の多いグループほど、残っている永久歯の数が少なく、出産回数4回以上の女性では、0または1回の女性に比べ約3本少ないという結果でした。また、奥歯のうち上下でかみ合っている永久歯のペア数(n-FTU)についても、出産回数の多いグループほど少なくなりました。男性について、出産回数の代わりに子どもの数を用いて同様の分析をしましたが、このような関連はみられませんでした。
女性の出産回数が歯の健康に影響する理由の一つとして、妊娠中の女性の半数以上は歯科治療を避ける傾向があり、しかも妊娠中に歯が悪くなることは仕方がないと考えていることがあります。しかし、妊娠中の歯の治療が胎児に悪影響を及ぼすという科学的根拠はありません。妊娠・出産による歯の健康の悪化を防ぐためには、妊娠中は歯の疾患の予防に積極的に取り組む必要があるという正しい知識を伝えることが必要です。
詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。