多目的コホート研究(JPHC Study)
全ゲノム解析を含むDNAから得られる情報を利用した研究についてのお知らせ
はじめに
1990年より始まった「多目的コホート研究(JPHC Study)」(現研究代表者:澤田典絵)では、厚生労働省がん研究助成金(1989-2010年度)、国立がん研究センター開発研究費(2011年度~)の助成を受けて、1990-1994年当時、40-69歳の約14万人の方に研究のご協力をいただいてきました。本研究では、アンケート情報および血液などの生体試料を取得し、さらに、2024年までの約30年間の追跡においては、参加者の疾病罹患情報(がん、循環器疾患、糖尿病)、死亡・異動情報を収集してきました。これらの調査で収集した情報は、がん・循環器疾患など生活習慣病予防要因の解明、また、健康寿命の延伸に資する研究のために活用され、日本人のためのがん予防法の根拠の1つとして貢献してきました。
[具体的な研究成果は こちら]
多目的コホート研究では、参加者の皆様や研究協力機関、自治体のご協力のもと、アンケート情報や疾病罹患情報、血液などの生体試料を収集し、長期にわたり保存してまいりました。これらの情報や試料は、がんをはじめとするさまざまな疾患の予防・治療、さらには個別化予防・医療の発展に資する研究のために活用されてきた、非常に貴重な公的資源です。
1.研究計画の変更に関する概要と研究対象者の範囲
・これまでの経緯と今回の変更点
一部の参加者の皆様からご提供いただいた血液は、国立がん研究センターで冷凍保存し、管理しています。血液に含まれる細胞から取り出したDNAには、私たちの体の特徴や働きに関わるさまざまな情報が記録されており、その全体を「ヒトゲノム」と呼びます。
これまで、対象者の皆様に事前にご案内を実施した上で、すでに収集された生体試料を用いた特定の遺伝子の解析を行ってきました(※1)。その成果として飲酒・栄養・生活習慣と遺伝的体質との関係などが明らかになりました。
※1:課題番号2011-044「多目的コホートにおいて収集された試料等を用いた、多層的オミックス技術の活用によるがん予防など健康持続のための包括的研究」
当時は、ヒトゲノムの一部に注目し、病気との関係が疑われる一部の遺伝子や、DNAの配列のわずかな違いである遺伝子多型を調べるにとどまっていましたが、その後の技術革新と科学的知見の進展により、現在ではヒトゲノム全体を網羅的に解析する「全ゲノム解析」が可能となりました。
DNAから得られるより詳しい情報と、生活習慣や感染など、生活や健康に関するさまざまな情報を組み合わせて研究することで、一人ひとりの違いを考慮した新たな予防法、診断法、治療法の開発につながり、将来、国民の健康増進に役立つことが期待されます。
こうした解析技術の進歩を踏まえ、今回、保存されている血液を用いて、全ゲノム解析を含むDNAから得られる情報をこれまでより広い範囲で詳しく解析する計画が追加されました。この研究計画は、2026年3月に国立がん研究センターの倫理審査委員会で承認されました(※2)。
※2: 課題番号2001-021「多目的コホート研究(JPHC Study)」
国立がん研究センター倫理審査委員会の承認および国立がん研究センター理事長の許可(2026年03月24日承認、2026年04月02日実施許可)
そこで、下記に記載のある対象者の皆様には、これまでにご提供いただいた試料を活用し、「全ゲノム解析」も含めた広範囲の遺伝情報の取得を行うことへのご理解とご協力をお願いしたいと考えています。
・DNAから得られる情報の取得を行う調査研究対象者の範囲
下記地域の対象者で、ベースライン [平成2-6(1990‐94年)] または5年後調査 [平成7-11(1995‐99年)] において血液を提供していただいた方。
・平成2年(1990年)開始地域(当時の市区町村名):
昭和5 (1930) 年1月1日から昭和24 (1949) 年12月31日に生まれた方で、
平成元 (1989) 年12月31日時点のお住まいが、二戸市、軽米町、横手市、雄物川町、臼田町、佐久町、小海町、川上村、南牧村、南相木村、北相木村、八千穂村、具志川市、恩納村
および、
・平成4年-5年(1993-94年)開始地域(当時の市区町村名):
大正12 (1923) 年1月1日から昭和27 (1952) 年12月31日に生まれた方で、
平成4 (1992) 年12月31日時点のお住まいが、友部町、岩瀬町、小国町、野市町、香我美町、宇久町、小値賀町、新魚目町、有川町、上五島町、奈良尾町、平良市、城辺町
・研究テーマや研究機関が適正であるか審議します
本研究で得られた試料や情報は、大学や研究機関、行政機関、一般社団法人やNPOなどの研究に利用されます。また、学術的な研究を目的とした共同研究として、企業が参加する場合もあります。いずれの場合も、研究の目的や方法は審議会で事前に審査され、各機関の倫理審査を経て、個人が特定されることのないよう厳重に管理されたうえで利用されます。
共同研究先や研究テーマの選定にあたっては、がん対策研究所利活用データ等審査会を設置し、提供先や利用目的が多目的コホート研究の目的に照らして、公衆衛生の向上に役立つ学術研究として妥当な内容であるかどうか、また、情報を取り扱うために十分なセキュリティ対策が講じられているかを中心に、情報の研究利用についての可否を審査します。
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がん対策研究所利活用データ等審査委員会メンバーの構成は、多目的コホート研究班の班員、国立がん研究センターの有識者、外部有識者(倫理、法務、産学連携に精通した専門家)、および患者さんやそのご家族、また一般の方などを予定し、公正に判断されることを目指しています。
がん対策研究所利活用データ等審査委員会メンバーの構成は、多目的コホート研究班の班員、国立がん研究センターの有識者、外部有識者(倫理、法務、産学連携に精通した専門家)、および患者さんやそのご家族、また一般の方などを予定し、公正に判断されることを目指しています。
・研究利用される情報や生体試料の内容
〇アンケート情報や、疾病罹患情報(がん、循環器疾患、糖尿病、認知症など)、死亡・異動情報については、多目的コホート研究ですでに収集された情報を使用します。
〇生体試料については、多目的コホート研究においてすでに収集・冷凍保存されているものを使用します。これらの試料を用いて、新たにバイオマーカー(病気や体の状態を示す指標)の測定が行われることが想定されます。その中には、抽出したDNAからヒトゲノム全体を詳細に解析する「全ゲノム解析」も含まれます。DNAの抽出、ゲノム情報の解析時には、氏名などの個人を容易に特定できる情報はわからない状態で扱われます。
<DNAの解析方法>
細胞のDNAには、生命の設計図ともいえる膨大な情報が記録されています。かつてはその解読に多くの時間と労力を要していました。しかし、近年の技術革新により、ヒトゲノムを包括的かつ詳細に読み取ることが可能になっています(「全ゲノム解析」)。本研究では、保存されている血液の細胞から抽出されたDNAをもとに、この「全ゲノム解析」を含む、DNAから得られる情報の取得を行います。
そのうえで、得られた遺伝情報を生活習慣、居住環境といった他の要因と組み合わせて解析し、病気の発症リスクや重症度、治療効果との関連を明らかにしていきます。解析にあたっては、厳正な審査を経て認められた大学や民間企業などの研究機関の協力を得る場合、また、民間企業に委託する場合があります。解析は、強固なセキュリティ体制を備えたコンピューターシステム上で実施されますが、今後、より有効な解析手法が開発された場合には、それらも適宜活用される予定です。
・収集された情報の保管・管理方法について
多目的コホート研究では、2019年(一部2022年)時点までの参加者の個人情報(氏名、性別、住所、電話番号、生年月日)を保持していますが、これらの情報は、国が定めた基準(「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」「個人情報保護法」)に基づき、厳重に保護されております。
また、日々の研究では、研究用IDが付されたデータベースを使用するため、どこの誰の調査資料を扱っているかを研究者が知ることはありません。全ゲノム解析も含めた遺伝情報の取得に供するDNA試料やそこから得られたデータも、同様です。
特に全ゲノム解析から得られたデータについては、限られた研究者のみが解析・利用できる仕組みを用いて管理されます。また、データは安全性が十分に確保された環境で保管され、厳格に管理されます。
・研究へのご協力を希望されない場合について
ご自身の情報や血液などの試料について、研究への利用を希望されない場合には、その旨を研究事務局までご連絡くださいますよう、お願いいたします。
国の定める倫理指針に基づき、書面での同意(インフォームド・コンセント)をいただく代わりに、がん対策研究所利活用データ等審査会で承認された個別課題名と概要内容はホームページ上へ公開を行い、2週間~1か月程度、当該研究課題への参加拒否を受け付ける解析開始留保期間を設けたのち、研究が開始されます。
また、本研究全体へ今後の協力を希望されない場合は、これまでと同様、いつでも参加拒否を受け付けています(https://epi.ncc.go.jp/jphc/820/9880.html)。すでに個人が特定できなくなっている情報や公開済みの研究結果を除き、保存されている調査情報は、ご本人のご希望に応じて破棄いたします。
なお、研究への使用を拒否された場合でも、それによっていかなる不利益を被ることもありません。
・研究協力による利益と不利益について
研究協力によって、参加者の皆様に直接的な利益や不利益が生じることはありません。ただし、本研究の趣旨にご賛同いただくことは、将来の医療の発展に貢献するものであることをご理解いただけますと幸いです。なお、本研究では集団としての情報を解析対象とするため、研究結果が公表された場合でも個人が特定されることはなく、参加者が不利益を被ることはありません。
・倫理的配慮について
研究計画は、国立がん研究センターでの研究許可日から適宜見直しし、研究の継続的な妥当性や倫理的配慮の確認を行いつつ、永続的に実施される予定です。
・研究成果の公表について
研究成果は論文、学会発表により学術的に報告します。また、ホームページなどを通じて広く社会に還元します。なお、公開内容は個人情報に関わることは含みません。
<公的な学術研究用データベースへの登録>
ゲノム情報を含む生体試料から得られた情報を、国民の健康増進や医療の発展、さらには新薬の開発に役立てるためには、研究者間で共有できる学術データベースに登録することが必要です。そのため本研究においても、この研究で得られた試料・情報を、将来的に公的なデータベースであるClinVarやバイオバンクに登録する可能性があります。登録に際し、あなたのお名前など、容易に個人を特定できる情報を使用することはありません。こうした大規模なデータ基盤を通じて、これまで症例の少なさから困難とされてきた研究が可能になり、様々な疾患の解明や、治療法、予防法の確立に貢献することが期待されます。
・個別の分析結果について、ご本人にお知らせすることはできません
生体試料を用いた遺伝子解析を含む分析結果については、研究やデータベースの性質上、個別の結果を参加者ご本人にお返しすることはできません。ただし、遺伝子の解析に関してご不安な点やご相談されたいことがある場合は、研究事務局までご連絡ください。研究についてより詳しくご説明するとともに、ご希望に応じて、国立がん研究センター中央病院の遺伝相談外来など、遺伝カウンセリングを受けられる施設をご紹介いたします。
・費用のご負担について
研究にかかる費用をご負担いただくことは一切ありませんが、謝金等のお支払いもございません。
・知的財産権および利益相反について
本研究の成果により知的財産権が生じる場合、その権利は原則として国または研究機関に帰属します。なお、企業との共同研究の場合には、研究提案の段階で事前に知的財産の取り扱いについて合意形成を行います。
研究における「利益相反」とは、研究者が企業などから経済的利益(謝金、研究費、株式等)の提供を受け、その利益が研究の計画・実施・結果の解釈や報告に影響を及ぼす可能性がある状況を指します。多目的コホート研究は、これまで主に公的研究費(がん研究開発費など)により実施されてきましたが、今後、企業との共同研究や、企業への情報の提供を行う場合には、関係する利益相反について研究成果とともに公開し、適切な手続を経て管理します。
また、特定の企業との関与がある場合には、当該研究が企業の寄付講座に基づくものであることを明示し、利益相反の状況を公表・申告いたします。
本研究における利益相反の管理は、参加施設それぞれが自施設の研究者に関しておこない、研究期間中に新たな利益相反が発生した場合には、各施設の利益相反委員会で管理されます。国立がん研究センターでは国立がん研究センター利益相反委員会がおこなっていますので、詳細をお知りになりたい方は中央研究事務局までお問い合わせください。
2. その他
ご希望がございましたら、本研究の研究計画書の内容をご覧いただくことができます。また、この研究に関してご不明な点やご意見・ご要望などがございましたら、下記までお気軽にご連絡ください。
研究代表者 澤田典絵
国立がん研究センター がん対策研究所
住所:〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
拒否の受付・問い合わせ窓口
多目的コホート研究中央事務局 窓口担当:石井、佐藤、木田、花房
電話:03-3547-5201(内線3346)(平日10:00~16:00)
E-mail:jphcadmin●ml.res.ncc.go.jp (●を@に書き換えて使用)

